細胞分裂回数に基づく牛胚の発達段階に関する提案

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タイトル別名
  • A suggestion about new developmental classification of bovine embryos according to cleavage divisions

抄録

【目的】演者らは、牛生体回収胚の総細胞数を対数変換して得た分裂回数と、排卵から9日目までの日齢との関係は、y=1.03x-0.16 (r=0.99)の一次式で示されることから、牛胚割球はほぼ1日に1回分裂していることを報告した(JRD2008)。胚の形態もまた、分裂回数に伴って11等級に分類され、その関係はy=0.99x-0.97 (r=0.99)の一次式で示されることから、胚の形態変化は分裂回数に連動していることを報じた(第23回東日本ET研)。そこで、これらの関係に基づいて、牛胚の排卵後の日齢と分裂回数に基づいて分類される11等級の形態との関係を調べた。【方法】過排卵処置したドナーに人工授精を実施し、排卵後0-9日目に胚を回収した。これらの中から正常は胚197個を形態的に分類後、採取日齢との関係をカイ2乗による分割表で検定するとともに、その相関を求めた。【結果】11等級の胚は、1細胞期胚が排卵後0-1日に、2細胞期胚が2日目に、3-4細胞期胚と5-8細胞期胚が2日目を中心に1-3日目に、9-16細胞期胚が3日目に、桑実胚(17-32細胞期胚)が4日目に、コンパクト桑実胚が5日目を中心に4-6日目に、胚盤胞が6-7日目に、拡張胚盤胞が7-8日目に、脱出胚盤胞が7-9日目に、そして拡張脱出胚盤胞が9日目にそれぞれ回収された(P<0.05)。また、日齢と形態の関係は、高い相関(r=0.98)を有する一次式で示された(y = 1.00x-0.85)。このことから、牛胚の形態変化は排卵後2-3日で早く起こるが、それ以降は日齢に伴って起こることが明らかとなった。これまで、牛胚の発達速度は、胚の分化や形態変化の影響を強く受けると考えられていたが、本結果は排卵後の日齢・分裂回数・形態変化が互いに連動していることを示している。牛胚の発達を数量化することや、発達過程を数式化することは、胚の発達段階をより客観的に評価できるので、例えば、体外で生産された胚の正常性を把握する上での基準になると考えられる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680691184768
  • NII論文ID
    130007022858
  • DOI
    10.14882/jrds.101.0.560.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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