交尾排卵動物スンクスにおけるメタスチンの排卵誘起効果

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タイトル別名
  • Induction of Ovulation with Metastin/Kisspeptin Injection in <I>Suncus murinus</I>, a Reflex Ovulator

抄録

【目的】神経ペプチドであるメタスチン(キスペプチン)が性腺刺激ホルモン放出ホルモン (GnRH)/黄体形成ホルモン (LH) の分泌制御に重要な役割を果たし、発情周期の制御を担っていることが、近年明らかにされつつある。しかしながら発情周期をもたない交尾排卵動物におけるその制御機構は未だ不明である。そこで本研究では、交尾排卵動物のモデルであるスンクス(Suncus murinus)を用いて、全長メタスチンまたはメタスチンのコアペプチドであり、生理活性を示すとされているC末端側10個のアミノ酸配列 (kisspeptin-10、 kp-10) の投与により排卵が誘起されるかどうかを検討した。【材料および方法】未経産のKAT系統雌スンクス(8-20週齢)を用い、human全長メタスチン、rat全長メタスチン、human kp-10、rat kp-10をそれぞれ5nmolまたは0.5nmol/頭、単回皮下投与した。投与72時間後に実体顕微鏡下にて黄体数を確認した。【結果および考察】humanまたはrat全長メタスチン投与群では現在のところ全頭で排卵が誘起されたが、humanあるいは rat kp-10投与群ではいずれも排卵が誘起されなかった。また全長メタスチン投与群の排卵数は自然交配による排卵数とほぼ同じであり、卵巣組織も自然交配時と変わらなかった。これらのことより、発情周期を持たない交尾排卵動物においてもメタスチンがLHサージを誘起することにより、排卵を誘起することが明らかとなった。スンクスkiss1遺伝子は現在クローニング中であるため、アミノ酸配列は決定できていないが、生理活性を示すとされているkp-10では排卵を誘起できなかったことより、kp-10以外にも活性部位が存在する可能性が示唆された。本研究は生研センター基盤研究推進事業によりサポートされています。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680691504896
  • NII論文ID
    130007023301
  • DOI
    10.14882/jrds.101.0.131.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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