Pathogenic Mechanisms of Bovine Retained Placenta

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  • ウシ胎盤停滞の発生機序に関する研究

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【目的】胎盤停滞は,分娩後 12 時間以内に胎膜が子宮から排出されない状態であり,出産後の健康状態,乳汁産生および繁殖効率を低下させる。胎盤停滞を発生したウシ (胎盤停滞牛) において,インターロイキン (IL) -8 および IL-8 によって合成が促進される collagenase の不足がその発生に関与していることが示唆されている。また,ヒトやげっ歯類において,脱落膜の剥離にはアポトーシスが関与していることから,ウシにおいても胎膜剥離にアポトーシスの関与が考えられる。本研究では,ウシ胎盤停滞の発生機序を明らかにする目的で,胎盤停滞牛および正常牛の胎盤節組織における (1) IL-8,collagenase 群である matrix metalloproteinase (MMP) -1 ならびに MMP-13 発現,(2) アポトーシス実行因子である caspase-3 発現を比較した。<BR>【方法】分娩直後にウシ胎子が存在した側の子宮角から胎盤節組織を採取し,胎子側と母体側に二分した。分娩後 12 時間の胎膜排出状況から,胎盤停滞牛と正常牛に分類した。これらの胎盤節組織における (1) IL-8 mRNA および MMP-1,MMP-13 mRNA 発現量,ならびに IL-8 濃度 (2)caspase-3 mRNA 発現量をそれぞれ測定し,正常牛と胎盤停滞牛を比較した。なお,mRNA 発現量は半定量的 RT-PCR 法で,IL-8 濃度は EIA により測定した。<BR>【結果】胎盤節組織の (1) IL-8 mRNA 発現,濃度ともに正常牛と胎盤停滞牛の間で差はみられなかった。また,MMP-1,MMP-13 mRNA 発現は,胎子側と母体側の胎盤節組織の間で差はみられたが,正常牛と胎盤停滞牛の間で差はみられなかった。(2) caspase-3 mRNA 発現は,正常牛の母体側に比べて胎盤停滞牛の母体側において有意に低かった (P<0.05)。<BR>本研究では,胎盤停滞の発生と IL-8 ならびに MMP-1 および MMP-13 の関連を明らかにすることはできなかった。一方,胎盤の剥離には母体側の胎盤で起こるアポトーシスが重要であり,胎盤停滞はアポトーシスの不成立に依る可能性が示唆された。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680691512064
  • NII Article ID
    130007023315
  • DOI
    10.14882/jrds.101.0.111.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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