妊娠認識時におけるウシ周期黄体から初期妊娠黄体への血管構造の移行過程
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- 永井 香也
- 帯広畜産大学
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- Beindorff Nicola
- ハノーバー獣医医科大学
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- 白砂 孔明
- 帯広畜産大学
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- Bollwein Heinrich
- ハノーバー獣医医科大学
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- 佐々木 基樹
- 帯広畜産大学
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- 清水 隆
- 帯広畜産大学
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- 宮本 明夫
- 帯広畜産大学
書誌事項
- タイトル別名
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- The Process of Transformation in the Bovine Corpus Luteum Vasculature During Maternal Recognition of Pregnancy
説明
【目的】ウシの妊娠認識時において,インターフェロン(IFN)τ により刺激される IFN-stimulated gene (ISG) 15 mRNA 発現が黄体で増加することが今年になって報告され,妊娠黄体は長期間維持されるための構造へとこの時期に既に変化を始める可能性がある。本研究では妊娠認識時を周期黄体から妊娠黄体への移行期と考え,黄体組織の形態的観察に加え,黄体内での血管新生因子の mRNA 発現を調べた。【方法】黄体期中期(ED12),後期(ED16)及び初期妊娠期(PD16, PD40)の雌牛(排卵= D1)から黄体を採取した (n=5/各周期)。採取した黄体の血管平滑筋細胞とペリサイト (SMA),増殖細胞(Ki67)及びコレステロール側鎖切断酵素(P450scc)を ABC 法で免疫組織染色した。また P450scc の染色から黄体細胞数を算出した。さらに,ISG15 と血管新生因子である,血管内皮増殖因子(VEGF)のアイソフォームである VEGF121 と VEGF165,アンギオポエチン(Ang)-1 と Ang-2 mRNA 発現をRT-PCR 法によって測定した。解析は黄体の中心部と周辺部に区分して黄体局所別に行なった。【結果】PD40の黄体中心部において単位面積あたりの黄体大細胞数が増加し, SMA の染色面積が減少したことから,PD40で黄体中心部の黄体大細胞の割合が増加したと考えられた。 VEGF165 及び VEGF121 mRNA 発現に変化はみられず, Ki67 の染色面積及び Ang-2/-1 mRNA 発現の比(血管構造の不安定さの指標)が, PD16では黄体周辺部のみで減少し, PD40で黄体中心部・周辺部で減少した。このことから,黄体の血管構造は, PD16 の黄体周辺部から既に安定化への変化が始まり, PD40 には黄体全体が安定化することが示唆された。 ISG15 mRNA 発現は PD16 に増加した。従って,初期妊娠黄体は,周辺部から血管構造が安定化し,中心部で黄体大細胞数が増加することによってその機能を長期間維持する状態にシフトしてゆく可能性が考えられ,それは初期胚が存在する妊娠認識時から既に始まることが示唆された。
収録刊行物
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- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
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日本繁殖生物学会 講演要旨集 101 (0), 104-104, 2008
公益社団法人 日本繁殖生物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680691515648
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- NII論文ID
- 130007023317
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可