黄体形成ホルモン(LH)サージを制御するメタスチンニューロンの性差をもたらす新生仔期の性ステロイド

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タイトル別名
  • Neonatal Steroids Cause Sex Difference in Metastin Neurons Regulating LH Surge in Rats

抄録

【目的】雌ラットではエストロジェン(E)のポジティブフィードバックによりLHサージが誘起されるが,雄ラットでは誘起されない。KiSS-1遺伝子にコードされるメタスチンは強力な性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)/LH放出作用を持つペプチドである。我々は以前,メタスチンがポジティブフィードバックによるLHサージ誘起を仲介すること,及びメタスチンニューロンの脳内分布に性差があることを示した。本研究は,新生仔期のステロイド環境によりメタスチンニューロンの脳内分布に性差が生じ,その結果GnRH/LHサージ機構の性差が決定するとの仮説を検証することを目的とした。【方法】出生直後の雄ラットに精巣除去した群 (D0 Cast),生後5日の雌にestradiol-benzoate (EB)を投与し,成熟後に卵巣除去した 群(D5 EB),成熟後に性腺除去した雌雄ラット(Adult CastとAdult OVX群)を設けた。10-12週齢の全群の動物に高濃度Eを処置し,LHサージの誘起,および前腹側室周囲核(AVPV)と弓状核(ARC)でのメタスチンのペプチドとmRNA,及びメタスチン受容体(GPR54)mRNA発現量を解析した。【結果】D0 CastとAdult OVX群ではE処置によりLHサージが誘起され, AVPVのメタスチンとそのmRNA発現が,D5 EB およびAdult Cast群に比して有意に高かった。またD5 EB およびAdult Cast群ではLHサージが誘起されなかった。GPR54mRNA量はすべての群間で有意差はなかった。新生仔期の性ステロイド感作によりAVPVメタスチンニューロンおよびLHサージが消失すること,新生仔期にこの感作がなければAVPVメタスチンニューロンの発現とLHサージ誘起が認められたことから,新生仔期のステロイド環境がAVPVのメタスチンニューロンに性差をもたらし,これによりGnRH/LHサージ機構の性差が決定されることが明らかとなった。本研究は生研センター基盤研究推進事業によりサポートされている。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680691521408
  • NII論文ID
    130007023327
  • DOI
    10.14882/jrds.101.0.12.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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