黒毛和種における分娩後の腟粘液および子宮環境の変化と繁殖性との関係
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- NABENISHI Hisashi
- Miyazaki Livestock Research Institute Domestic Animal Biotechnology Depertment
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- SHIGENAGA Ayumi
- Nobeoka livestock health and hygiene office
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- MIDO Shogo
- Laboratory of Theriogenology, Faculty of Agriculture, University of Miyazaki
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- MURATA Nozomu
- Laboratory of Theriogenology, Faculty of Agriculture, University of Miyazaki
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- KUROKI Mikiya
- Miyazaki Livestock Research Institute Domestic Animal Biotechnology Depertment
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- NAKAHARA Takashi
- Miyazaki Livestock Research Institute Domestic Animal Biotechnology Depertment
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- KITAHARA Go
- Laboratory of Theriogenology, Faculty of Agriculture, University of Miyazaki
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- OSAWA Kenji
- Laboratory of Theriogenology, Faculty of Agriculture, University of Miyazaki
Abstract
【目的】牛の子宮内膜炎は,繁殖成績の低下をもたらすだけでなく繁殖障害による淘汰にもつながる重要な子宮疾患であり,乳用牛を中心に多くの研究が進められているが,黒毛和種における知見は少ない。そこで,黒毛和種経産牛における分娩後の腟粘液および子宮環境の変化を経時的に調査するとともに,繁殖性との関連について検討した。【方法】正常に分娩した50頭の黒毛和種経産牛を対象に,分娩後2週から6週まで1週ごとに採材した(延べ206頭)。腟検査はメトリチェックを使用し,腟粘液をスコア(MCS)0~4の5段階に分類した。子宮内膜細胞診はサイトブラシを用い,採取した子宮内膜スメアをスライドガラスに塗抹して染色した標本を顕微鏡下で観察,全細胞数に占める多形核好中球の割合(PMN%)を算出した。また,分娩後,人工授精を施した供試牛の受胎成績とMCS,PMN%との関連について検討した。【結果】腟検査では,分娩後2週目ではMCS≧2の個体が全体の57%を占めたが4週目では12%に減少し,6週目ではすべてMCS≦1となった。なお,平均MCSは,分娩後2,3週目までは高く推移し,4週目以降は有意に低下した(P<0.05)。子宮内膜細胞診では,分娩後2,3週目ではPMN>8%の個体が全体の27%を占めたが,6週目では3%まで減少した。平均PMNは,分娩後2,3週目までは高く推移し,4週目以降は有意に低下した(P<0.05)。このことから,黒毛和種においては,分娩後4週目までにはほとんどの牛で子宮環境が回復することが明らかとなった。一方,繁殖性との関係では,分娩後2週目のMCSと空胎日数との間に有意な負の相関が認められ(P<0.05),分娩後早期にMCS,PMNが高いほど受胎率が高くなる傾向が認められた。これらの結果は,黒毛和種において分娩後の腟粘液および子宮環境と繁殖性との関連を示唆するものであり,今後さらに研究を発展させていく必要がある。
Journal
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- The Journal of Reproduction and Development Supplement
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The Journal of Reproduction and Development Supplement 106 (0), OR2-39-OR2-39, 2013
The Society for Reproduction and Development
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680691600640
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- NII Article ID
- 130005051093
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed