受胎牛および不受胎牛の交配前後における末梢白血球由来ISG-15発現パターンの比較

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タイトル別名
  • ISG-15 gene expression derived from peripheral blood leukocytes at pre- and post-breeding in cattle

抄録

【目的】牛群の繁殖成績向上を図る上で早期妊娠診断、特に不受胎牛のスクリーニングが不可欠である。現在、超音波検査による妊娠診断が普及しているものの、授精後25日未満の診断は困難である。近年、反芻動物の妊娠認識の時期に子宮内膜においてインターフェロンの分泌を受けて発現する各種遺伝子(Interferon stimulated genes; ISG)の存在が明らかにされており、妊娠牛の末梢血白血球(PBL)中においてもISGの一つであるISG-15の発現が増加することが報告されている。そこで本研究では、授精後23日未満における初期胚の生存性をモニタリングすることが可能か否かを明らかにする目的で、ISG-15のPBLにおけるmRNA発現パターンを妊娠牛および非妊娠牛の交配前後で比較した。<BR> 【方法】供試牛としてホルスタイン種およびジャージー種乳牛計10頭を用いた。発情日をDay0とし、人工授精または胚移植実施後のDay12からDay22までの期間、隔日で正中尾静脈よりEDTA-2K加真空採血管を用いて採血した。その後、超音波検査をDay24からDay26の間で実施し、妊娠の有無を確認した。EDTA加全血は採血後6時間以内に処理し、1mlからPBLを分離後、total RNA抽出まで-80℃で凍結保存した。抽出したTotal RNAを元にcDNAを作製し、RT-PCR法によりPBL中におけるISG-15のmRNA発現を調べた。<BR> 【結果】RT-PCRの結果、Day18、Day20、およびDay22に採材したサンプルにおいてISG-15に特異的なPCR産物が明瞭なバンドとして観察された個体は10頭中5頭であり、これら5頭全頭において超音波検査により受胎していることが確認された。一方、残る5頭では全頭において採血期間を通じて明瞭なバンドは観察されず、これら5頭では超音波検査によって不受胎であることが確認された。以上の結果より、PBL中のISG-15 mRNAの発現を指標として、授精後18日における妊娠初期胚の生存性をモニタリングできる可能性が示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680691604864
  • NII論文ID
    130007023413
  • DOI
    10.14882/jrds.100.0.20021.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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