ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)投与後に見られる血中テストステロン二峰性上昇メカニズムの解明

説明

【目的】hCGはLH様作用があるため,hCG投与後のテストステロン(T)産生を指標とした精巣機能検査に用いられる。馬・山羊・ハムスターなどにおいてhCG投与後の血中T濃度は投与数時間後をピークとした1回目の上昇と,投与数日後をピークとした2回目の上昇が認められるが,そのメカニズムは不明である。本研究はhCG投与後の血中T濃度の二峰性上昇メカニズムの解明を目的とし,ハムスターを用い各種血中ホルモン濃度の測定と精巣内遺伝子発現解析を行った。【方法】雄ハムスターに対しhCGを腹腔内投与を行い投与前,投与5,24時間後,3,5,7日後の血液,精巣,精巣上体および精嚢腺の採取を行った。精巣上体と精嚢腺については体重あたりの重量比を算出した。血中ホルモン動態はRIA法を用いLHおよびT濃度の測定を行った。また,投与したhCGの残存時間を確認するため同様にRIA法を用い血中hCG濃度の測定を行った。精巣サンプルからRNAの抽出を行いreal-time PCR法を用いてLH受容体(LHR),P450scc,3β-HSDおよび17β-HSDの発現変化を調べた。【結果】精巣上体および精嚢腺の重量はhCG投与5日後に高い値が見られた。血中hCG濃度は投与後5時間をピークとし,その後3日以内に検出限界以下となった。血中T濃度はhCGと同様に投与5時間後に1回目のピークが認められ,投与5日後をピークとした2回目の上昇も観察された。血中LH濃度には大きな変化が認められなかった。hCG投与3日後の精巣においてLHR,3β-HSDおよび17β-HSD mRNAの発現上昇が認められ,P450scc mRNAは投与5時間後に上昇が認められた。【考察】hCG投与後に生じる1回目の血中T濃度上昇は,hCGによる直接的作用によるものと考えられる。hCGは3日以内に消失する事から,2回目の上昇はhCGの二次的な影響であると考えられ,3日後に生じる精巣内のLHR発現上昇の関与が示唆された。又,血中T濃度の上昇は2回目の方が高い値を示し,精巣上体および精嚢腺の重量も3日後以降に増加した事から,hCG投与の効果は主に2回目のT上昇に依存するものと考えられる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680691746944
  • NII論文ID
    130005475176
  • DOI
    10.14882/jrds.107.0_or2-16
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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