マウス乳腺におけるプロラクチン発現

書誌事項

タイトル別名
  • Prolactin gene expression in the mouse mammary gland

説明

【目的】近年,プロラクチン(PRL)は雌雄生殖器官,眼球組織,免疫組織などでも特異的タンパク質として産生され(異所性PRL),リン酸化,プロテアーゼ切断等のバリアントが存在し(異型PRL),様々な機能を有することが報告されている。異型PRLの中でも特にプロテアーゼ切断で生成する16kDaPRLは23kDaPRLとは異なり,血管新生阻害,アポトーシス促進に関与することが明らかになっている。今回我々は,様々な生理状態のマウス乳腺を用いて16kDaPRLの有無とその切断酵素の同定,乳腺上皮細胞におけるPRLおよびPRLレセプター(PRLR)mRNA発現の有無,そしてその機能の解明を目的として以下の実験を行った。<BR> 【方法・結果】PRL抗体,N末端PRLを優先的に認識する抗体(PRL Ab1),C末端PRLを優先的に認識する抗体(PRL Ab2)を用いてウェスタンブロッティングを行った結果,PRL Ab1によりすべての生理状態で16kDaPRLを検出した。さらに,マウスPRLをCathepsin Dで切断したところ16kDaに切断された。次に,乳腺上皮細胞を採取し,PRLおよびPRLRのRT-PCRとRealTime PCRを行った。その結果,退行期でPRLmRNA発現を,同時期にPRLシグナル伝達機能を持つPRL LongレセプターmRNA発現は変化しないが,機能が明らかでないPRL ShortレセプターmRNA発現が減少することを確認した。また,免疫組織化学的検索によりPRLの局在を調べ,細胞増殖/アポトーシスとの関係を調べた。その結果,妊娠期や離乳後で上皮細胞の腺房側に,泌乳期で基底側にPRLシグナルが見られた。また,退行期においてPRL局在とアポトーシス細胞が一致していた。<BR> 以上の結果から,マウス乳腺では異所性PRLが発現しており,退行期ではアポトーシスを誘導,乳腺退行を促進すること,またその機能を持つPRLはCathepsinDで切断された16kDaPRLである可能性が示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680691876992
  • NII論文ID
    130007023621
  • DOI
    10.14882/jrds.100.0.20006.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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