染色体制御因子KidおよびCdc42抑制による多核化とアポトーシス誘導の関係
書誌事項
- タイトル別名
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- Analysis of relationship multinuclear caused by inhibition of Kid and Cdc42 and apoptosis
説明
【目的】ヒトの受精卵培養において,一つの割球に複数の核が形成される多核化が報告されている。多核胚は発生率・着床率が低く,染色体異常の割合が高いことから不妊治療における問題の一つとされている。近年のKOマウスやHeLa細胞を用いた研究から,キネシンファミリーに属するKidとRhoファミリーGタンパク質であるCdc42が細胞の多核形成に関与することが示唆されている。また,多核胚は発生率が低いことが知られており,多核胚がアポトーシスなどの細胞死を起こしていることが考えられるが,多核化と細胞死に関する解析は行われていない。そこで本研究では染色体制御因子の抑制による多核化とアポトーシスの関係を解析することを目的とする。【方法】妊娠14.5日目のマウス胎仔から得られたMEFを培養し,Kid siRNAおよびCdc42 siRNA導入後RT-qPCRにて遺伝子,ウエスタンブロッティングにてタンパク質発現をそれぞれ解析した。siRNA導入後,DAPIによる核染色で多核の発生を観察するとともに,6日目まで2日ごとに細胞数を計測した。また,siRNA導入2日目のMEFにおける活性型Caspase3を免疫細胞化学的に検出すると同時に,Hoechstで核,PIで死細胞核を染色し,多核化した細胞とアポトーシスの関係を解析した。【結果】MEFにおいて,Cdc42またはKidおよびCdc42の両遺伝子を抑制することで多核の割合が有意に増加することが示された(P<0.05)。また,RNA干渉によって両遺伝子の発現を抑制すると,siRNA導入4日目および6日目において細胞数が減少し,細胞死が起こっていることが示唆された。活性型Caspase3の解析により,多核細胞は単核細胞と比較して活性型Caspase3の割合が有意に高い値を示した(P<0.05)。以上より,MEFにおいてKidおよびCdc42は正常な核形成に重要であり,両遺伝子の発現が低下すると多核化が促進され,アポトーシスを引き起こすことが示された。
収録刊行物
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- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
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日本繁殖生物学会 講演要旨集 108 (0), P-65-P-65, 2015
公益社団法人 日本繁殖生物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680691897216
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- NII論文ID
- 130005492181
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可