ウシ黄体ステロイド合成細胞の増殖能に関する研究

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タイトル別名
  • Evidence for proliferation of bovine luteal steroidogenic cells during CL formation

抄録

【目的】黄体ステロイド合成細胞 (LSC) に分化する前の卵胞顆粒層および卵胞内膜細胞は増殖能を有するが、黄体化することにより増殖能は失われると考えられている。このことから、排卵後の黄体の成長は LSC の増殖ではなく、細胞サイズの増加であると考えられている。しかし、黄体の成長機構は不明な点が多く詳細は明らかではない。本研究では、ウシ黄体の形成機構を明らかにする目的で、LSC の増殖能について検討を行うと共に、黄体化誘導因子である黄体形成ホルモン (LH) の LSC の増殖能に及ぼす影響についても併せて検討した。【方法】LSC の増殖能を評価するため、1) 発情周期を通じた黄体組織における Ki-67 (細胞増殖マーカー) 発現を免疫組織化学により調べた。2) 発現が認められた周期について、Ki-67 と LSC の指標となる HSD3B の二重染色を行った。3) LSC の増殖能を評価するため、形成期および中期黄体から LSC を単離し、その増殖能を DNA assay により調べた。4) LSC の増殖能に及ぼす LH の影響を検討するため、形成期および中期黄体から単離した LSC に LH を添加し、細胞の増殖性を DNA assay により調べると共に細胞周期調節因子発現 (CCND2、CCNE1CDKN1A および CDKN1B) を定量的 RT-PCR 法で調べた。【結果】初期、形成期、中期黄体において、Ki-67 陽性細胞が確認された。HSD3B と Ki-67 の共発現は初期、形成期および中期黄体で確認され、中期黄体と比較して初期および形成期黄体で共発現細胞数が多かった。形成期および中期黄体から単離した LSC のDNA 含量は共に増加したが、形成期 LSC のDNA 増加率が有意に高かった。また、LH 添加により中期黄体 LSC の DNA 増加率のみ減少した。形成期黄体 LSC の細胞周期調節因子は LH の影響を受けなかったが、中期黄体 LSC の CCND2 mRNA 発現は LH により抑制された。本研究より、ウシ LSC は増殖し、LSC の増殖は初期黄体、形成期黄体で活発であること、また LH は CCND2 発現を抑制することにより、LSC の増殖能を調節する可能性が示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680691913088
  • NII論文ID
    130005457662
  • DOI
    10.14882/jrds.105.0_2
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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