分娩後のホルスタイン種乳牛における子宮内細菌感染と子宮内膜炎および発情周期性回復との関係

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タイトル別名
  • Bacterial infection in the uterus of postpartum dairy cows and their relationship with endometritis and resumption of ovarian cyclicity

抄録

分娩後のホルスタイン種経産牛における子宮内膜の細菌叢、炎症度、および発情周期性回復との関係を明らかにするため、分娩後5週(W5)に88頭から、7週(W7)に74頭から採材した。メトリチェックを用いて腟粘液を採取、スコア化(0から4の5段階)した。また、子宮体部の内膜スメアをサイトブラシに採取、スワブに移して細菌同定のための好気性培養と嫌気性培養を行うと共に、スライドガラスに塗抹して標本を作成、鏡検下にて細胞診を実施、子宮内膜の多形核好中球%(PMN%)を算出した。さらに、分娩後3週(W3)、W5およびW7に尾静脈よりヘパリン加真空採血管に採血、血漿中プロジェステロン濃度を測定した。その結果、W5には88頭中52頭(59.1%)より、W7には74頭中46頭(62.2%)より細菌が分離された。そのうち、Arcanobacterium pyogenes (A. pyogenes)と嫌気性菌が分離された個体はW5とW7においてそれぞれ15頭(28.2%)と11頭(23.9%)であった。子宮内膜におけるA. pyogenesの存在は嫌気性菌の存在と有意(P < 0.0001)に正の相関を示した一方で、E. coliとレンサ球菌の存在とは相関していなかった。また、A. pyogenesと嫌気性菌の存在がW5、W7ともに腟粘液スコアやPMN%と有意に(P < 0.0001)正の相関を示したが、レンサ球菌の存在がPMN%を増加させるような結果は得られなかった。W3までに発情周期性を回復した13頭のうち、W5において1頭のみ、W7においても1頭のみからA. pyogenesと嫌気性菌が分離された。さらに、W5とW7の両時点においてA. pyogenesと嫌気性菌が分離された7頭のうち、2頭においてはW7までに発情周期性の回復が観察されず、残りの5頭においては黄体期の延長が観察された。以上の結果より、潜在性子宮内膜炎におけるA. pyogenesと嫌気性菌の重要性と、卵巣機能の回復遅延と子宮内での A. pyogenesおよび嫌気性菌の感染持続性との関連が示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680692114944
  • NII論文ID
    130005457703
  • DOI
    10.14882/jrds.105.0_1145
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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