AIあるいはET後の妊娠ウシ末梢血白血球における遺伝子発現の比較

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • The leukocyte IFNT-induced genes expression in pregnant cows after AI and ET.

抄録

【目的】妊娠した牛の末梢血白血球,特に顆粒球分画において人工授精(AI)後14日にISG15,Mx1,Mx2,OAS-1の遺伝子発現が上昇すると報告されている。しかし胚移植(ET)後に検討した報告は少ない。本研究では,1)これら4遺伝子の顆粒球分画における発現がAI妊娠牛と同様にET妊娠牛でも上昇するか,2)AI後の遺伝子発現パターンから妊娠または非妊娠の診断基準を作成し,この基準がETでも使用できるかを検証した。【材料と方法】岩手大学農学部御明神牧場で飼育されている経産肉用牛20頭を用いた。排卵同期化処置を行い,発情日(D0)に定時AI (AI群9頭),D7に定時ETを実施し(ET群11頭),D42に超音波検査で妊娠診断を行った。D0,14,21に採血し,顆粒球分画からRNAを抽出,定量的RT-PCRにより各遺伝子の発現量を調べ,D0の発現量を1としてFold changeを算出した。【結果および考察】AI,ET群ともに妊娠牛ではD0と比較してD21で4遺伝子の発現が上昇した。しかしD14では,AI,ET群共に妊娠牛と非妊娠牛の間で4遺伝子の発現に有意差はなかった。AI後の遺伝子発現パターンから,陰性的中率(NPV)が100%となるよう,D21のFold ChangeがISG15,OAS-1で3以上,Mx1,Mx2で5以上に上昇するものを妊娠とする診断基準を作成した。この基準では,AI群で4遺伝子全ての感度およびNPVは100%で妊娠牛は全て陽性と判定され,偽陰性はみられなかった。一方,ET群ではNPVはISG15で66.7%,Mx1で83.3%,Mx2で66.7%,OAS-1で50.0%とAI群より低く,偽陰性の割合が増えた。ET群ではD21において妊娠牛,非妊娠牛共にAI群より4遺伝子全ての発現が高く,AI群とは別の基準を作る必要があると思われた。D21で陰性と診断されたAI牛は確実に非妊娠であったことから,陰性牛を対象に直ちに次の処置を始めることができ,空胎期間の短縮が期待できる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680692191872
  • NII論文ID
    130005457725
  • DOI
    10.14882/jrds.105.0_1122
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ