ブタ未成熟卵子のガラス化保存

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  • vitrification of porcine immature oocytes

抄録

【目的】ブタ未成熟卵子をガラス化保存すると、その後の体外成熟率や胚発生率が著しく減少することが報告されている。これらの原因として、細胞内の超微細構造の変化が考えられる。事実、ガラス化保存した未成熟卵子では細胞骨格の崩壊やミトコンドリアの膨化などが起こることが知られている。そこで本研究では、膨化の阻害剤(CsA)および膨化と関連があると考えられているcaspaseの阻害剤(ZVADfmk)が、ガラス化保存したブタ未成熟卵子の加温後の形態および体外成熟率に及ぼす影響について調査した。【方法】ブタ卵子は屠場由来卵巣より吸引採取し、卵丘細胞が3層以上付着し細胞質が均一なものを実験に用いた。ガラス化保存は、CsA(1µM)あるいはZVADfmk(20µM)添加および無添加のガラス化溶液を用いて行った。さらに、加温後、同濃度のCsAまたはZVADfmk添加および無添加区の成熟培養液で44時間IVMを行い、卵子の形態および核成熟率を調査した。【結果】ブタ未成熟卵子をガラス化保存すると、形態的に異常と判断された変性卵子割合が増加する(2.1% vs 87.7%:P<0.01)とともに、体外成熟率が新鮮卵子と比べ有意に低下(89.5% vs 10.3%:P<0.01)した。CsAを成熟培養液だけに添加した場合、変性卵子割合が有意に低下(87.7% vs 63.9%:P<0.01)するとともに、体外成熟率も有意に増加した(10.3% vs 26.8%:P<0.01)。しかし、ZVADfmkをガラス化溶液および成熟培養液に添加しても効果は認められなかった。CsAを成熟培養液に添加することにより、その後の成績が向上することから、ブタ未成熟卵子はガラス化保存されるとミトコンドリアに異常が発生し、加温後の卵子の形態および体外成熟率に悪影響を及ぼすことが示唆された。また、CsAの添加はブタ未成熟卵子のガラス化保存に有効であると考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680692294272
  • NII論文ID
    130007023956
  • DOI
    10.14882/jrds.98.0.39.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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