泌乳牛における黄体開花期のGnRH類縁物質のパルス状投与が後大静脈血中および末梢血中プロジェステロン濃度に及ぼす影響

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  • Effects of pulsatile administration of GnRH analogue on progesterone concentrations in the caudal vena cava and the jugular vein in cows

抄録

【目的】泌乳牛の黄体開花期における末梢血中プロジェステロン(P)濃度は非泌乳牛よりも高く,黄体形成ホルモン(LH)のパルス頻度も増加していることを我々は第103回本大会(2010年)において報告した。本研究では,泌乳牛におけるLHパルス頻度の増加とP分泌との関係を精査するため,GnRH類縁物質のパルス状投与を行ってLH分泌と後大静脈および末梢血中P濃度の変化を調べた。【方法】発情周期を正常に反復しているホルスタイン種泌乳牛4頭を1-2回実験に供試し,処置発情周期を通じて卵巣の変化と末梢血中P濃度を調べた。黄体のP分泌状態を調べるため,排卵後10-13日の黄体開花期に尾静脈から後大静脈へカテーテルを挿入し,卵巣静脈開口部近辺に留置した。翌日,後大静脈血と頚静脈血(末梢血)を12分間隔で12時間採取した。GnRH類縁物質(酢酸ゴナドレリン)2.5 μg/2 ml(GnRH群: n=3)あるいは生理食塩液2 ml(対照群: n=3)を採血開始後6時間から1時間間隔で6回静脈内投与し,血中LHおよびP濃度の投与前後6時間の変化を両群で比較した。【結果】LHパルス頻度はGnRH投与前6時間および対照群では3-4 pulses/6 hであったが,GnRH投与後は5-6 pulses/6 hに増加した。血中平均LH濃度はGnRH群と対照群間で投与前6時間と投与後6時間に有意な差はなかったが,両群ともに投与前に比べて投与後は有意に高かった。後大静脈血中の平均P濃度はGnRH群の投与前6時間には対照群と差はなかったが(53.4 ± 8.5 vs. 48.3 ± 13.3 (SD)ng/ml),GnRH投与後に増加して対照群よりも有意に高くなった(87.2 ± 1.4 vs. 45.2 ± 4.6 ng/ml)。末梢血中の平均P濃度もGnRH投与前には対照群と差がなかったが(6.3 ± 0.3 vs. 5.1 ± 1.4 ng/ml),GnRH投与後は増加して対照群よりも有意に高くなった(7.3 ± 1.1 vs. 5.3 ± 1.0 ng/ml)。発情周期中のP濃度は,GnRH投与日を除き両群に差はなかった。【まとめ】LHパルス頻度の増加は黄体のP分泌を刺激し,後大静脈および末梢血中P濃度を増加させることが示された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680692408448
  • NII論文ID
    130005457470
  • DOI
    10.14882/jrds.105.0_1001
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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