17α-ethynylestradiol (EE) の新生児期単回曝露による視床下部Kiss1遺伝子発現の変化

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  • The effect of neonatal exposure to 17alpha-ethynylestradiol (EE) on hypothalamic Kiss1 gene expression in adult female rats

抄録

【目的】我々は以前に,新生児期における17α-ethynylestradiol (EE) の単回曝露が雌性生殖器に及ぼす遅発性影響を検討し,性成熟以降に0.2~200μg/kgにおいて用量依存性に性周期変調(排卵停止)の早期化を来すことを明らかにした。本研究では,排卵停止を起こす機序を明らかにするため,視床下部におけるKiss1遺伝子発現について検討した。【方法】実験には雌性Donryuラットを用い,出生後24時間以内にEE0,20,200μg/kgを1回皮下投与した。10週齢時に発情前期,発情期を示す動物各3例ずつについて視床下部を採取した。視交叉より前側(前腹側周囲核(AVPV)に相当)と後側(弓状核(ARC)に相当)に分け,それぞれreal-time RT-PCRによりKiss1およびKiss1受容体のmRNA発現を測定した。比較のため,同週齢の雄ラットおよび新生児期にEE20,000μg/kgを投与した雌ラットについても同様の解析を行った。【結果】視床下部前部におけるKiss1遺伝子の発現は,発情前期において20,200μg/kg群で有意に低下し,0μg/kgに比べ1/2程度であった。20,000μg/kg群および雄ラットでは,さらに低く0μg/kgに比べ1/3程度であった。一方,発情期では0μg/kg群との差は明らかではなかった。視床下部後部におけるKiss1遺伝子の発現は,発情前期において20,200μg/kg群で低下傾向を示したが,統計学的に有意な変動はみられなかった。Kiss1受容体の発現については,投与に起因する変動は認められなかった。雌のAVPVにおけるKiss1ニューロンは,排卵誘起に重要な黄体形成ホルモンのサージ状分泌の制御に関与することが知られている。遅発性影響発現量の20,200μg/kg群では脳の雄化には至っていないものの,発情前期におけるKiss1遺伝子発現が低く,排卵誘起機能が低下していることが推測された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680692434688
  • NII論文ID
    130005457591
  • DOI
    10.14882/jrds.105.0_1022
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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