ニホンザルのサージ状黄体形成ホルモン (LH)分泌におけるキスペプチンニューロンの役割

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Involvement of kisspeptin neurons in the regulation of estrogen-induced LH surge in Japanese monkey (<i>Macaca fuscata fuscata</i>)

抄録

【目的】キスペプチンは,KISS1遺伝子によってコードされる神経ペプチドであり,エストロジェンに応答して性腺刺激ホルモン放出ホルモン (GnRH) 分泌を上位で制御する因子である。本研究では、ニホンザルのLHサージ発生機構を解明することを目的として、エストロジェンによるKISS1遺伝子発現と、KISS1ニューロンの活性化について検討した。【方法】成熟ニホンザルの卵巣を除去し、皮下にエストラジオールを含むシリコンチューブをインプラントした。2週間の後に、エストロジェン処置群ではエストラジオールベンゾエイト (EB, 42μg/kg) を投与し、12時間間隔で96時間採血を行った。また,卵巣除去ニホンザルの一部に上記のエストロジェン処置をした24時間後に4%パラホルムアルデヒドで灌流固定し、視床下部を採取した。凍結切片を作成して、in situ hybridization によりKISS1 mRNA発現細胞を検出するとともに、免疫組織化学により c-Fos発現を検出した。【結果】エストロジェン処置ニホンザルにおいて,EB投与24時間をピークとするサージ状LH分泌が確認された。性腺除去群において、Kiss1 mRNA発現細胞は視床下部弓状核において確認され、それらの細胞にはcFosはほとんど発現していなかった。一方、エストロジェン処置群では、視索前野においてKiss1 mRNA発現細胞が認められた。また,視索前野と弓状核のKiss1 mRNA発現細胞の一部にc-Fosの発現が確認された。以上の結果から、ニホンザルの視索前野キスペプチンニューロンにおいて, Kiss1 mRNA発現はエストロジェン依存的に発現が増加すること,視索前野および弓状核のキスペプチンニューロンがエストロジェンの正のフィードバック作用を仲介し,サージ状LH分泌の惹起に関与する可能性が示唆された。<br>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680692436224
  • NII論文ID
    130005457592
  • DOI
    10.14882/jrds.105.0_1025
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ