全国で飼養されている体細胞クローン牛およびその後代牛の一般臨床検査-20協力機関と畜草研における結果-

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タイトル別名
  • Clinical examination of cloned cattle and its progeny fed in Japan

抄録

【目的】平成10年7月以来,わが国では多数の体細胞クローン牛の出産に成功している。生産された体細胞クローン牛については,一連の飼養・繁殖試験を通じ,雌雄のクローン牛の成長や繁殖についての健全性が認められている。ただし,クローン牛には未解明な点が多く,各種データの蓄積がさらに必要である。本研究では,体細胞クローン牛に関する生理学的データの蓄積を通じた「畜産物の安心・安全」への貢献を目指し,体細胞クローン牛およびその後代牛を対象とした一般臨床検査を全国一斉に実施した。【方法】体細胞クローン牛あるいはその後代牛(試験牛)を飼養している機関(道立畜試,宮城畜試,茨城畜セ,山梨酪試,静岡畜試,富山農技セ,石川畜総セ,岐阜畜研,愛知農総試,兵庫農総セ,島根畜技セ,長崎畜試,熊本畜研,大分畜試,鹿児島畜試,鹿児島肉改研,沖縄畜試,家畜改良事業団,小岩井農牧(株),(株)ミック)の協力により,試験牛および試験牛と同数の対照牛(同性・類似月齢の同居牛)における体重,呼吸数,脈拍数,直腸温等,一般臨床検査を平成17年4月11 - 22日に行った。【結果】今回の調査において,クローン牛63頭,後代牛25頭,対照牛81頭,その他2頭の合計171頭分(黒毛和種,ホルスタイン種,褐毛和種、F1)のデータを収集した。その結果、クローン牛およびその後代牛で得られた測定値の分布範囲は対照牛と同様であった。例えば,黒毛和種雌における呼吸数(回/分)は,クローン牛(33頭):16 - 39,後代牛(12頭):12 - 66,対照牛(42頭):12 - 60であった。脈拍数(回/分)は,クローン牛:54 - 124,後代牛:56 - 114,対照牛:44 - 160であった。また,直腸温(℃)は,クローン牛:37.0 - 39.2,後代牛:37.3 - 39.4,対照牛:36.5 - 39.8であった。なお,神経質な牛においては,呼吸数や脈拍数の著しく上昇する場合が認められた。以上の結果は,全国で飼養されているクローン牛およびその後代牛の健全性を示唆していると考えている。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680692484864
  • NII論文ID
    130007024074
  • DOI
    10.14882/jrds.98.0.26.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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