ヤギの卵胞期におけるキスペプチン誘導体TAK-683の投与が卵巣活動,性腺刺激ホルモンおよび卵巣ステロイドホルモン分泌におよぼす影響
抄録
【背景】キスペプチン誘導体であるTAK-683は去勢雄ヤギにおいて黄体形成ホルモン(LH)分泌を小さい振幅で長時間刺激することが示されている。本研究ではヤギの卵胞期にTAK-683を投与し,卵巣活動および性ホルモン分泌に及ぼす影響を検討した。【材料と方法】予備実験として卵巣摘出ヤギ(OVX)3頭を供試した。TAK-683(50 μg/頭)を静脈内に投与し,6分間隔6時間の頻回採血を行い,LH分泌動態を観察した。本実験では正常な発情周期を営む雌ヤギ(Intact)5頭を反復供試した。排卵日をDay0(第1回排卵)とし,Day10にプロスタグランジンF2α(PGF2α) 2mg/頭を筋肉内投与して黄体退行を誘起し,その12時間後に処置群(n=4)にはTAK-683(50 μg/頭),対照群(n=4)には生理食塩液を静脈内に一回投与した。採血は,Day0からPGF2α投与後に観察された排卵(第2回排卵)に続く排卵(第3回排卵)まで連日もしくは隔日,さらにPGF2α投与直前(0時間)から96時間は6時間間隔で行い,血漿中LH,卵胞刺激ホルモン(FSH),プロジェステロン(P4)およびエストラジオール-17β(E2)濃度を測定した。また超音波画像検査をDay0から第3回排卵まで隔日または連日で行い,卵胞および黄体の変化を観察した。【結果】OVXおよびIntactともに,TAK-683投与後LH濃度の上昇が観察されたが,上昇の振幅はIntactにおいて個体差が大きかった。本実験において,TAK-683投与後6時間の処置群における平均LHおよびFSH濃度は対照群に比べ有意に高かった。一方,処置群における血中E2濃度は対照群に比べて投与後有意に低下した。第2回排卵において,処置群の排卵卵胞の最大直径は対照群に比べて有意に小さく,さらに処置群では第2回排卵後の黄体期における血中P4濃度の低下が観察された。【結論】卵胞期におけるTAK-683の投与は性腺刺激ホルモン分泌を刺激し,未成熟卵胞の排卵につながることが推測された。
収録刊行物
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- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
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日本繁殖生物学会 講演要旨集 106 (0), P-50-P-50, 2013
公益社団法人 日本繁殖生物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680692506880
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- NII論文ID
- 130005051180
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可