ヤギの黄体期におけるキスペプチン−10投与が黄体形成ホルモンおよびプロジェステロン分泌におよぼす影響

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抄録

【目的】キスペプチン−10(Kiss10)は性腺刺激ホルモン放出ホルモン分泌を促進することにより,黄体形成ホルモン(LH)分泌を刺激することが知られている。本研究では黄体期のヤギにKiss10を投与し,LHおよびプロジェステロン(P4)分泌に及ぼす影響を検討した。【方法】正常な発情周期を営む雌シバヤギ3頭を反復供試した。超音波画像診断装置を用いて排卵日(Day 0)を特定し,黄体期(Day8~13)に処置を行った。頚静脈に留置したカテーテルを介して処置群にはKiss10(530㎍/5ml)を単回投与し,対照群には溶媒5mlを投与した。投与前2時間から投与後4時間まで10分間隔の頻回採血を行い,LHおよびP4の血中濃度推移を観察した。また,次回排卵まで隔日もしくは連日採血を行い,同時に超音波画像検査により卵巣の変化を観察した。【結果】処置群において,Kiss10投与後速やかな血中LH濃度の上昇が観察された。投与前後の6時間における血中LH濃度を2時間毎の平均値として解析したところ,処置前2時間,処置後0~2時間および処置後2~4時間における血中LH濃度は,それぞれ0.16±0.06ng/ml,0.61±0.13ng/mlおよび0.18±0.01ng/mlであった。処置後2~4時間のLH濃度は,処置前2時間に比べて有意に高かったが(P<0.05),処置後2~4時間では低下し,処置前に比べて有意な差は認められなかった。一方,血中P4濃度は処置前2時間,処置後0~2時間および処置後2~4時間において,それぞれ7.08±1.64ng/ml,8.95±2.15ng/mlおよび8.90±1.08ng/mlであり,処置後0~2時間および処置後2~4時間の血中P4濃度は処置前2時間に比べて有意に高かった(P<0.05)。【考察】ヤギの黄体期におけるKiss10投与によりLHおよびP4分泌が促進されることが示され,黄体期におけるKiss10単回投与は黄体機能を刺激する効果があることが示唆される。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680692514816
  • NII論文ID
    130005051177
  • DOI
    10.14882/jrds.106.0.p-48.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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