インテリジェントマイクロシリンジを用いたFSH頻回分割投与によるウシ過剰排卵処置法の検討

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Superovulation treatment in Holstein cows by multiple fractionated injection of pFSH using Intelligent microsyringe

抄録

【目的】牛における過剰排卵処置法は,FSHの1日2回,3~4日間の漸減投与法が一般的である。近年,私達は任意の液量と回数を制御できるステップ稼働型インテリジェントマイクロシリンジを開発した。そこで,過剰排卵処置時におけるFSHの頻回分割投与が卵胞発育や黄体形成,血中ホルモン動態に及ぼす影響について比較検討した。【方法】ホルスタイン種経産牛を用いて排卵日をD0とし,D10~D13までの4日間,FSHによる過剰排卵処置を行った。対照区(n=12)ではFSHを1日2回4日間(5,5,4,4,3,3,2,2AU)の合計28AUを皮下投与した。試験区(n=14)では1日あたりのFSH投与量が対照区と同じになるように設定し,マイクロシリンジを用いて4時間おきに1日6回分割投与した。両区ともにD12の朝夕にPGFの投与を行った。超音波診断装置を用いて卵胞と黄体の数とサイズを経時的に計測し,血漿中Estradiol 17βとProgesterone濃度を時間分解蛍光測定法によって測定した。【結果と考察】D10のFSH投与開始時の総卵胞数は両区ともに平均28個前後であった。中卵胞(5.1≦直径<8.5mm)数は試験区,対照区ともにD10から漸増しD12にピークを認めた(9.7 VS 11.7)。大卵胞(≧8.5mm)数は,中卵胞数と同様に増加し,D14(発情日)に試験区,対照区ともに最高値(9.2 VS 13.3)を示した。過剰排卵処置後の排卵日をD0’として,D1’の大卵胞数は試験区(平均2.0個)に比べて,対照区(平均3.5個)で多かった。D6’の平均黄体数は試験区および対照区(8.9 VS 12.0)で,有意な差は認められなかった。黄体サイズや血漿中Estradiol 17βおよびProgesteroneのホルモン動態などに関しても有意な差は認められなかった。以上の結果,FSHの頻回分割投与法がウシ過剰排卵処置に応用可能であることが示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680692762880
  • NII論文ID
    130007024471
  • DOI
    10.14882/jrds.104.0.1117.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ