ウシの加齢に伴う黄体機能の変化についての検討

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  • Effect of aging on corpus luteum function in cow

抄録

<p>【目的】ウシ黄体はプロジェステロン(P4)を産生することで妊娠成立・維持に重要な役割を果たす。黄体形成期に黄体機能(P4濃度)が低下した場合は胚由来のインターフェロンタウ産生が低くなり,妊娠認識不備による不受胎に繋がる可能性がある。一般的に,母体の加齢に伴い妊孕性が低下する。Malhiら(Biol Reprod 2005)は,ウシ(ヘレフォード)の加齢に伴う血中P4濃度の低下を報告したことから,黄体機能低下が妊孕性低下に影響する可能性が考えらえる。本研究では,ウシ(黒毛和種,ホルスタイン種)における月齢依存的な黄体機能の変化を検証した。【方法】食肉センターで黒毛和種またはホルスタイン種の卵巣を採取した。黒毛和種は62カ月齢以下を若齢区(平均30カ月齢),140カ月齢以上を老齢区(平均185カ月齢)に,ホルスタイン種は60カ月齢以下を若齢区(平均42カ月齢),100カ月齢以上を老齢区(平均120カ月齢)に分類した。黄体は初期,中期,後期,退行期に区分した(発情=Day 0,各期n=8–10)。黄体組織重量を測定し,組織からタンパク質およびRNAを抽出し,黄体組織中のP4濃度およびP4合成関連遺伝子発現を測定した。【結果】黄体組織重量は両種とも黄体初期から中期にかけて増加し,後期から退行期で減少した。黄体組織中P4濃度は黄体期初期から後期で一定し,退行期で低下した。黒毛和種では黄体期初期における組織中P4濃度が老齢区と比較して若齢区で高かった。黄体組織中P4濃度はホルスタイン種に比べて黒毛和種で高かった。P4合成酵素(StAR,P450scc,3βHSD)mRNA発現は黄体期初期から中期で増加し,後期から退行期で減少した。黒毛和種では黄体期初期から後期にかけて,3βHSD mRNA発現が老齢区に比べて若齢区で高い値で推移した。ホルスタイン種では若齢区と老齢区における差は見られなかった。以上から,黒毛和種は黄体期初期において老齢区でP4合成能力が低下する可能性が示され,年齢依存的な黄体機能変化の解析モデルになり得ると考えられた。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680692952320
  • NII論文ID
    130007024737
  • DOI
    10.14882/jrds.109.0_p-32
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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