アカキツネ(<I>Vulpes vulpes</I>)における頚管粘液電気伝導度の推移を指標とした交配とその後の分娩率について

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • The changes of cervical mucosa electrical conductivity related with the timing of mating and the parturition rate in red fox(<I>Vulpes vulpes</I>)

抄録

【目的】キツネは単発情動物であり,その発情徴候を人為的にとらえることは困難で,我が国では,その繁殖管理に関する報告は見あたらない。そこで,キツネの飼育条件下における安定的な繁殖性を得る目的で,頚管粘液電気伝導度測定器を用いて計測した頚管粘液電気伝導度の推移と雄の許容性,その後の分娩について検討した。【方法】1~4歳のアカギツネ50頭(実頭数29頭)を用いて,2008年から2010年のそれぞれ1月末から3月中旬に実験を行った。キツネは個体ごとにケージで飼育した。頚管粘液電気伝導度(mS/cm)の測定には犬用DRAMNSKI排卵測定器を用いた。測定に際してはキツネを無麻酔下で腹臥位に保定し,外陰部を消毒した後に,測定電極を約10 cm腟内に挿入して2回計測した。雌が雄を許容するかどうかは,ペアリング後約10分間の行動観察で判定した。妊娠日数は,雄との交配日をDay0として算出した。まず,18頭を用いて,繁殖期における電気伝導度の推移を明らかにするため,1~2日間隔で計測した。次に,32頭については1~3日間隔で電気伝導度を測定し,電気伝導度が一過性に上昇した時点でペアリングを行い,その交配率を検討した。分娩日は子ギツネの鳴き声で特定した。【結果と考察】雄を許容した8頭の個体の電気伝導度は,平均124~167 mS/cmで推移した後,平均 443 mS/cm(p<0.01)をピークとする一過性の上昇が見られた。雄を許容しなかった10頭の個体では平均132~171 mS/cmで推移し,一過性のピークは認められなかった。また,32頭の測定においては19頭の電気伝導度が急激に上昇し,ペアリング後に雄との交配が成立した。雄との交配が成立した割合は54%(27/50)であり,雄との交配が成立した総計27頭において,その妊娠率は67%,妊娠日数は平均52.3日(50~54日),産子数は平均4.3頭(3~7頭)であった。以上の結果,頚管粘液電気伝導度の測定は,雄との交配時期を決定する上で,有用であることが示された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680692962176
  • NII論文ID
    130007024746
  • DOI
    10.14882/jrds.104.0.325.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ