β-NMN添加成熟培養によるマウス老齢個体卵の紡錘体形態と初期発生能の改善

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  • β-NMN supplementation to IVM medium improves oocyte spindle shape and embryo developmental potential in aged mice

抄録

<p>【目的】老齢個体卵では,減数分裂時の紡錘体矮小化が増加し,染色体不分離や姉妹染色分体の早期分離などによる異数性が増加することが知られている。一方,我々は成熟培養(IVM)後に異数性を頻発するSOD1遺伝子欠損マウス卵では,染色体分離に関わる紡錘体形成チェックポイント(SAC)構成因子BubR1のMI期動原体における局在が低下していることを報告しており,老齢卵でも同様にSAC機能が低下していることを予測している。最近,ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の生体投与は,加齢で減少するBubR1をNAD依存性脱アセチル化酵素SIRT2を介して回復させることが報告されている。そこで本研究では,老齢卵のレスキューIVM系の構築を目的に,SIRT経路を介しBubR1の発現量を増加させるβ-NMN添加の効果について検討を行った。【方法】野生型の2ヶ月齢あるいは13~15ヶ月齢のC57BL系マウスから,卵核胞期卵を採取し,10 mM β-NMNの添加培地で,18時間IVM後,卵および卵丘細胞におけるSirtuinファミリー(Sirt1,2,4,6)mRNAの発現,卵の紡錘体形態,IVMFC後の発生能の評価を行った。【結果及び考察】β-NMNを添加した老齢卵では,対照区に比較し,MII期染色体の不整列が顕著に減少し,紡錘体の長径および面積が有意に上昇していた。また早まり気味であった老齢卵の卵核胞崩壊期が,若齢卵の時間に近づく傾向がみられた。SirtuinファミリーmRNAの発現は,卵丘細胞では月齢およびβ-NMN添加による顕著な影響はみられなかった一方,卵ではSirt1とSirt6の発現レベルが高く,β-NMN添加により上昇する傾向がみられた。老齢卵ではβ-NMN添加により,卵割率,胚盤胞への発生率は上昇していた。現在,SAC因子の発現動態は解析中であるが,今回の結果から,成熟培地へのβ-NMNの添加は,老齢卵の減数分裂の進行および紡錘体形態を改善し,受精後の発生能を上昇させることが明らかとなった。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680693014016
  • NII論文ID
    130007024806
  • DOI
    10.14882/jrds.109.0_or2-5
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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