黒毛和種牛の分娩後早期における子宮内膜PMN%の推移

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タイトル別名
  • Endometrial PMN% in early postpartum Japanese Black cows

抄録

乳牛の潜在性子宮内膜炎の診断基準として分娩後5~7週における子宮内膜の多形核白血球%(PMN%)が6以上という数値が報告されているものの、肉用牛における分娩後早期のPMN%の推移については明らかにされていない。そこで肉用牛の分娩後早期のPMN%の推移を明らかにするとともに、腟粘液性状およびその他の臨床所見との関係を調査した。<BR> 岩手大学農学部附属FSC御明神牧場にて繋養の黒毛和種経産牛10頭を供試、分娩後3週(21.8±1.4日; W3)から6週(42.6±1.7日; W6)まで毎週1回7日間隔で各種検査を実施した。腟検査にはメトリチェックを用いて腟粘液をスコア化(0=透明粘液、1=膿断片を含む透明な粘液、2=膿が50%未満の膿状粘液、3=膿が50%以上の膿状粘液、4=スコア3の外観で悪臭を伴う)した。また、超音波検査にて子宮内の液体貯留の程度(FIU)をスコア化(0=なし、1=僅かに有り、2=あきらかに有り、3=大いに有り)した。さらに、子宮体部の内膜スメアをサイトブラシに採取、スライドガラスに塗抹標本を作成して鏡検下にて細胞診を実施、子宮内膜PMN%を算出した。<BR> W3からW6までの4回における腟粘液スコアは1.9±1.5, 1.2±0.8, 1.2±0.4, 0.8±0.8、FIUスコアは0.8±0.9, 0.3±0.4, 0.3±0.7, 0.1±0.3、および子宮内膜PMN%は26.0±24.9, 11.7±16.4, 14.7±21.7, 6.7±11であり、いずれの項目も週数経過につれて有意(p<0.05)に低下した。子宮内膜PMN%が6%よりも大きかった個体はW5とW6においてそれぞれ4頭と3頭であった。そのうち、腟粘液スコアが1以下の個体はそれぞれ3頭と2頭、FIUスコアが1以下の個体はそれぞれ3頭と3頭であった。<BR> 以上より、黒毛和種牛においても子宮内膜PMN%は分娩後早期の子宮修復過程にある黒毛和種経産牛における子宮環境を評価する方法として有用であることが示唆された。今後は繁殖成績との関係を調査して、潜在性子宮内膜炎の診断基準となるカットオフ値を明らかにしたい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680693053568
  • NII論文ID
    130007024867
  • DOI
    10.14882/jrds.104.0.321.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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