Time-lapse cinematography対応型マイクロウェル培養システム: 単一胚の発生追跡ツール

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Time-lapse Cinematography Compatible Polystyrene-based Microwell Culture System: A Novel Tool for Tracking the Development of Individual Embryos

抄録

【目的】我々はtime-lapse cinematography (TLC)観察に適した,新規well of the well システム(WOW)を開発した.本研究では,開発したWOWにより培養したウシ体外受精(IVF)胚の体外および体内発生を通常の集団培養胚のそれらと比較した.【方法】実験1,25個のIVF胚を125µlの5%CS添加CR1aaの培養滴(対照区)およびWOWに導入し,168時間の体外培養を行った.胚盤胞への発生率,胚盤胞の内部細胞塊(ICM)細胞数,栄養外胚葉(TE)細胞数,TUNEL陽性細胞率,および酸素消費を解析した.対照区およびWOW区に由来する胚盤胞を移植し,受胎率を算出した.実験2,Ovum pick-up (OPU)-IVF胚をWOWに導入し,リアルタイム細胞観察システムで168時間培養した.得られた胚盤胞を仮親に移植した.移植した胚盤胞の第一卵割の速度とパターンを解析し,受胎率との関係をロジスティック回帰により分析した.【結果】実験1,胚盤胞への発生率,ICMおよびTE細胞数は,WOW区と対照区で違いは認められなかった.TUNEL陽性細胞率はWOW区で,対照区に比べ低かった(P < 0.01).WOW由来胚の酸素消費は,対照区より体内由来胚のそれに類似した.WOW由来胚を移植した場合の受胎率53.6%は,対照区由来胚の 20.0%に比べ高い傾向にあった(P = 0.07)。実験2,第一卵割速度と受胎率に相関は認められなかったが,第一卵割パターンと受胎率に相関が認められた(P = 0.04)。第一卵割時にfragmentを伴わず,かつ均一な2割球に分裂した胚の受胎率は66.7%と,異常卵割した胚の33.3%に比べ高かった.以上,開発したTLC対応型マイクロウェル培養システムは高品質なウシIVF胚の効率的生産および選択,さらには胚の生育予測因子を解析する強力ツールになることが示された。本研究は生研センター異分野融合研究支援事業の助成を受けた.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680693189248
  • NII論文ID
    130007025030
  • DOI
    10.14882/jrds.103.0.141.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ