牛子宮内膜炎治療薬としてのポリビニルピロリドンヨード液の最適子宮内注入濃度および量について ━<i>in vitro</i>においての検討

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タイトル別名
  • Optimal concentration and dose of intrauterine povidone-iodine as treatment for bovine endometritis - Experiments made <i>in vitro</i>

抄録

【目的】ポリビニルピロリドンヨード(以下PVP−I)液は牛の子宮疾患などの感染症の治療薬として広く使われているものの,その最適濃度については近年議論がある。また,子宮角先端まで満たすための最適な注入量は明らかではない。本研究の目的は子宮内にPVP−Iを注入する際の最適な濃度と用量を明らかにすることである。 【方法】〈実験1〉子宮蓄膿症罹患牛の子宮より得られた膿様貯留物を用い,in vitroにおいて0.5%および2%PVP−Iを膿様貯留物と10:1,5:1,2:1,1:1,1:5,1:10の容量比で混釈・培養し,各容量比における発育細菌数について,PVP−I混和後の細菌数を膿様貯留物のみの細菌数で除した値を発育率とし,0.5%および2%PVP−Iの発育率がはじめて1.0×10–4%未満となる容量比を比較した。〈実験2〉食肉処理場より得られたホルスタイン種経産牛子宮7体(3.8~11.0歳齢,平均6.6±2.7標準偏差)を水浸し,子宮内に疎水性物質(菜種油)を10 mLずつ10段階で計100 mL,子宮体へ注入した。各段階において7.5MHzリニア型プローブを装着した超音波診断装置を用い,子宮体,子宮角分岐部,角間間膜部および子宮角先端における,子宮内腔の長径および短径を計測した。 【結果】〈実験1〉0.5%PVP−Iにおいて膿様貯留物容量の10倍量以上,2%PVP−Iにおいて2倍量以上の投与で発育率が1.0×10–4%未満となることが観察された。〈実験2〉7体中1体は30 mL,4体は40 mL,2体は60 mL,平均44 mLの注入で両子宮角先端において初めて内腔の拡張が観察された。以上の結果より,牛子宮内膜炎の治療に際して子宮内注入するPVP−Iの濃度は0.5%と比較して2%がより有効で,注入量は30~60 mLで十分であることが示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680693204736
  • NII論文ID
    130005491991
  • DOI
    10.14882/jrds.108.0_or2-26
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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