黒毛和種経産牛におけるショートシンク処置時の卵巣動態と受胎率との関係

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タイトル別名
  • Relationship between ovarian status during a Short-synch program and conception rate in Japanese black cows

抄録

【目的】ショートシンク(SS)法は機能性黄体を有する経産牛にプロスタグランジン(PG)Fを投与し,二日後に性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)を投与,その翌日に定時人工授精(TAI)を行う方法である。これまで私たちは,本法を黒毛和種牛に応用した結果,受胎率が約60 %であり,妊娠率の向上に有効であることを報告した。本研究では,より正確に卵巣動態を観察し,SS処置時の卵巣動態とTAI後の受胎率との関係を明らかにすることを目的とした。【方法】黒毛和種牛繁殖農家4戸にて,分娩後40日以上経過した無発情牛および妊娠診断での不受胎牛,計21頭(産歴:5.1 ± 3.1,平均 ± 標準偏差)を供試した。10.0MHzのリニア型経直腸プローブを装着した超音波診断装置(MyLabTMOneVET,Esaote社)を用い,直径18 mm以上の黄体を有する牛にクロプロステノール500㎍を投与し(D0),PGF投与後55.5 ± 0.5時間(D2)にGnRHとして酢酸フェルチレリン100㎍を投与,GnRH投与後16.9 ± 1.2時間にTAIを実施した。D0およびD2の卵巣所見を超音波検査で動画として記録し,同一人物によって卵胞と黄体が最大面積となる長径と短径を計測し,その平均値を各々の直径とした。またD0およびD2に採血し,血漿中プロジェステロン(P4)濃度を測定した。TAI後30日以降に超音波検査により妊娠診断した。【結果】主席卵胞はD0からD2にかけて2.23 ± 1.25 mm成長した。全供試牛(n=21)の血漿中P4濃度はD0(9.26 ± 3.01 ng/ml)からD2(0.79 ± 0.49 ng/ml)にかけて有意に低下した(P < 0.01)。TAI後の受胎率は57.1 %(12/21)であった。D0における黄体直径は,受胎した牛(20.8 ± 1.53 mm)が不受胎だった牛(18.9 ± 0.87 mm)と比較して有意に(P < 0.01)大きかった。以上の結果から,SS法処置開始時(PGF投与時)の黄体直径と受胎率の間に関係があることが示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680693205888
  • NII論文ID
    130005491994
  • DOI
    10.14882/jrds.108.0_or2-29
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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