プロトン刺激による性腺刺激ホルモン産生細胞株の応答解析

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タイトル別名
  • Analysis of cellular signaling pathways induced by extracellular proton in a gonadotrope cell line.

抄録

【背景】下垂体に存在する性腺刺激ホルモン産生細胞(gonadotropes)は,黄体形成ホルモン(LH),卵胞刺激ホルモン(FSH)の合成,分泌を通じて生殖機能を制御している。これらホルモンの合成,分泌は,性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)により主に調節されている。近年,オートクリン,パラクリンにより産生された下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP),プロスタグランジンF2αやプロスタサイクリンなどが gonadotropesに作用し,LH,FSHの合成,分泌などを調節していることが明らかとなりつつある。これらgonatotropesの機能を調節するGnRH,PACAPやプロスタグランジン刺激は,すべてGタンパク質共役型受容体(GPCR)を介して受け取られている。そこでgonadotropesに発現しているGPCRの種類を調べることにより,新たなgonadotropes機能調節因子が明らかとなる可能性がある。今回我々は,OGR1と呼ばれるGPCRが性腺刺激ホルモン産生細胞株(LβT2)に発現していることを見出した。この受容体は細胞外プロトンを感知して活性化するという特徴を有する。【目的】プロトン刺激によりLβT2細胞応答が,どのように変化するのかを明らかにする。【方法】酸性化に伴う細胞内カルシウム濃度の変化を,fura2を用いて測定した。SRE-, NFAT-プロモーターをもつレポーター遺伝子を細胞に導入後,培養液のpHを変化させ,各々のレポーター遺伝子の活性を測定した。【結果】酸性化に伴い,細胞内カルシウムの一過性の上昇が観察された。またSRE-,NFAT-レポーターの活性化が観察された。【考察】下垂体組織内の局所的なpHの低下が,OGR1を介してgonadotropesの機能を調節している可能性がある。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680693302528
  • NII論文ID
    130005492070
  • DOI
    10.14882/jrds.108.0_p-1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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