マウス胎盤形成における7番染色体および12番染色体上の父性インプリント遺伝子の役割
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- 川原 学
- 東農大バイオ
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- 呉 ケイ
- 東農大バイオ
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- 矢口 行雄
- 東農大電顕センター
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- ファーガソン-スミス アン
- ケンブリッジ大
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- 河野 友宏
- 東農大バイオ
書誌事項
- タイトル別名
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- Crucial roles of genes regulated by two paternally imprinted regions on chromosomes 7 and 12 in mouse placentation
抄録
【目的】ゲノムインプリンティングを受けていない新生子由来の非成長期卵母細胞(ng)と成体由来の卵子(fg)のゲノムを保持する雌核発生胚(ng/fg)は胎盤形成期まで発生可能である。この実験系を利用して,父性インプリント遺伝子として知られる,7番染色体上のH19-Igf2および12番染色体上のGtl2-Dlk1のそれぞれの遺伝子発現がマウス胎盤形成に及ぼす影響を調べることを目的とする。【方法】使用したngの遺伝的な背景は以下3種類である;野生型のngWT,7番染色体上の父性メチル化修飾領域を欠損したKOマウスのngΔch7,12番染色体上の父性メチル化修飾領域を欠損したKOマウスのngΔch12。はじめに,ngΔch12/fg胎子の発生能を調べた。次に,各胎盤における父性インプリント遺伝子の発現量とその局在を調べた。また,胎盤切片HE染色像を観察し,巨細胞,海綿状組織,迷路状組織の形態を比較した。最後に迷路状組織の血洞構造を比較した。【結果および考察】ngΔch12/fgは妊娠19.5日まで生存可能であることを明らかにし,妊娠期間を通じてngΔch12/fg胎盤が採取できることを確かめた。ngΔch7/fg胎盤と比較して,ngΔch12/fg胎盤は重量が軽く,Igf2遺伝子の発現量が低く,肥大化した巨細胞が観察された。しかし,ngΔch7/fg胎盤と異なり,Dlk1遺伝子の発現がみられ,迷路状組織に対する海綿状組織の割合および母体血洞構造の複雑化はともに野生型胎盤に類似していた。【結論】マウス胎盤形成において7番染色体上父性インプリント遺伝子群と12番染色体上父性インプリント遺伝子群は異なる役割を果たすことが明らかになった。
収録刊行物
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- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
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日本繁殖生物学会 講演要旨集 99 (0), 8-8, 2006
公益社団法人 日本繁殖生物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680693312512
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- NII論文ID
- 130007025144
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可