マウス胎子の倍数性変化がインプリント遺伝子発現とDMRメチル化状態に及ぼす影響

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Influence of polyploid state on genomic imprinting in mice

抄録

<p>【目的】哺乳類において三倍体や四倍体の多倍体胚は胎生致死となる。また,片親性発現を示すインプリント遺伝子の正常な発現は哺乳類の個体発生に必須であり,過去にマウス三倍体胎子におけるインプリント遺伝子発現異常を確認している(Yamazaki et al., 2015)。インプリント遺伝子発現の主要な制御機構として,父母ゲノムの性特異的なDNAメチル化修飾が知られ,メチル化修飾を受ける領域はメチル化可変領域(DMR)と呼ばれる。植物ではゲノム多倍体化によりDNAメチル化レベルが変化するが,哺乳類ゲノムでは倍数性とDNAメチル化レベルの関係は不明である。そこで,本研究では,マウス四倍体および三倍体胎子について,インプリント遺伝子のDMRメチル化レベルと発現レベルを解析した。【方法】マウス四倍体胚は二細胞期胚における電気融合法により作出した。三倍体胚は前核期卵の核移植により作出した。胎齢10.5日で回収した胎子からRNA,DNAを抽出し,H19Gtl2Igf2rGrb10Zim1,Igf2Dlk1Peg3SnrpnNdnIpwの11インプリント遺伝子の定量PCRを行った。さらに,バイサルファイトシークエンスにより4か所のDMR(H19-,IG-,Igf2r-,Snrpn-)のメチル化解析を実施し,アリル発現解析(Igf2Gtl2Dlk1)も行った。【結果および考察】マウス四倍体胎子のインプリント遺伝子発現レベルを二倍体胎子と比較すると,9遺伝子で発現レベルが有意に変化していた。しかしながら,解析した4か所のDMRメチル化レベルは,四倍体,三倍体胎子共に性特異的なメチル化様式を維持していた。また,四倍体胎子におけるアリル発現解析においても,解析した3遺伝子については片親性発現を維持していた。これらの結果から,マウス胚の多倍体化はインプリント遺伝子発現には影響を及ぼすものの,DMRメチル化状態,および,片親性発現の維持には影響を及ぼさないことが明らかとなった。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680693360384
  • NII論文ID
    130007025213
  • DOI
    10.14882/jrds.109.0_or1-27
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ