抗酸化酵素を介した黄体形成ホルモン (LH) の黄体機能維持機構

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タイトル別名
  • Luteoprotective roles of luteinizing hormone are mediated by antioxidant in bovine corpus luteum

抄録

【目的】LH が progesterone (P4) 分泌を刺激する際に,cytochrome P450 side chain cleavage の活性化と同時に電子の放出が起こり活性酸素種 (ROS) の生じることが報告されている。ROS は黄体退行を誘発する因子として知られており,LH が ROS を増加するにもかかわらず黄体機能を刺激するのは,同時に ROS を分解する抗酸化酵素合成を刺激するという仮説を立てた。本研究では,LH の黄体機能維持機構を解明する目的で上記仮説の証明を試みた。【方法】1) ウシ黄体細胞に LH (10 ng/ml) 及び P4 receptor antagonist の onapristone (OP,100µM) を単独または組み合わせて添加し 24 時間培養後 copper-zinc SOD (SOD1),manganese SOD (SOD2) 及び catalase (CATA) mRNA 発現を定量的 RT-PCR 法により,タンパク質発現を western blot 法により,SOD 活性を SOD activity assay kit を用いて調べた。2) ウシ黄体細胞に LH と SOD 阻害剤である diethyldithiocarbamate (DETC,100µM) を添加し 24 時間培養後,細胞生存率を WST-1 法により調べた。3) 排卵周期各期のウシ黄体組織における SOD1,SOD2 及び CATA mRNA 並びにタンパク質発現を調べた。【結果】1) SOD1 mRNA 及びタンパク質発現が LH 単独添加区において control と比較し有意に増加した。また,SOD1 タンパク質発現が OP を単独または LH と供添加区において control と比較し有意に減少した。SOD2 と CATA mRNA 及びタンパク質発現並びに SOD 活性が LH と OP 供添加区において control と比較し有意に増加した。2) LH 単独添加区において control と比較し細胞生存率が有意に増加したが,LH と DETC 供添加区において LH の作用が抑制された。3) SOD1 及び CATA mRNA 及びタンパク質発現が黄体中期において最も高くなることが示された。一方で,SOD2 mRNA 発現は黄体中期に高くなるものの,SOD2 タンパク質発現は退行期に向けて発現が増加した。本研究から,LH は P4 刺激時に生ずる ROS に対し抗酸化酵素産生を増加し黄体を保護する可能性が示された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680693416704
  • NII論文ID
    130005457802
  • DOI
    10.14882/jrds.105.0_3
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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