A study on geochemical features of acid hot-springs in Japan

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  • 本邦の酸性泉の地化学性に関する一考察

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本邦には火山性の酸性泉が多数存在する。酸性泉の泉質の特徴は火山ガスの寄与が明瞭であること、低pHのため岩石との反応性に富むこと、これらの帰結として種々の溶存成分を含有していることである。酸性泉は一般に、硫酸卓越熱水型(SO4型:川湯・酸ヶ湯・須川・蔵王・那須・草津温泉等)、噴気型(後生掛・根温泉等)、火山ガス凝縮性塩素卓越熱水型(HCl型:玉川・川原毛温泉等)、二次的酸性塩化物泉型(NaCl型:登別・恐山温泉等)、カルシウム塩化物泉型(岳温泉)、弱酸性型(多数)の6つに区分されている。本研究では文献及び野外調査を通じて前4型の溶存成分の地化学性を検討した。 酸性泉の溶存成分を、火山岩組成による規格化値及び濃度とpHとの関係を基に、暫定的ながら次の4グループに分類した(下図)。グループIは火山ガスに由来する成分(C,S,Cl)、グループIIIは規格化値がほぼ一定で岩石から調和的に溶出した成分、グループIIはこれらの中間的な規格化値を示す成分でマグマ性あるいは岩石から選択的に溶出した成分、グループIVは酸性環境下でも不溶性の成分(Ti,Zr)である。酸性泉の特徴は低pHであることから、グループIIIが酸性泉に固有の成分である。SO4型・HCl型・噴気型のグループIIIは濃度とpHの関係においてほぼ一群の負相関を示し、NaCl型のグループIIIのアルカリ金属元素とハロゲン元素はその一群から区別される。グループIIは酸性泉の地域性を反映すると考えられる、例えばB/Cl比はNaCl型では堆積岩相の、SO4型では火山岩相の貯留層を示唆する。酸性泉の泉質の地域的特性をより明確にするため、グループIIの他の成分についても検討中である。

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