書誌事項
- タイトル別名
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- Profile of alopecia areata: analysis of 205 cases
- エンケイ ダツモウショウ ノ ドウコウ 205レイ ノ カイセキ
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説明
円形脱毛症(AA)患者205例を対象に,Olsenらが提唱した重症度分類を適用し,発症年齢別{小児期群(0~15歳),思春期群(16~19歳),成人前期群(20~39歳),成人後期群(40歳以降)}に検討を行った.男性69例,女性136例で構成され,男女比は1:1.9だった.発症年齢は1歳~73歳にみられた.平均発症年齢は男性29.7±17.1歳,女性34.5±17.6歳で,女性は男性より遅発性である傾向が推察された(p=0.0704).S1またはS2(S1–2,頭部の50%未満脱毛)を呈した症例は120例(58.5%),S3またはS4(S3–4,頭部の50~99%脱毛)は61例(29.8%),alopecia totalisは5例(2.4%),alopecia universalisは19例(9.3%)であった.発症年齢分布では,男性に明らかなピークはみられなかったが,女性では20~24歳と50~54歳にピークを形成する2峰性を呈した.発症月が明らかだったのは147例で,その月別発症数は4月から増加し始め10月以降に減少し,4月から10月までの7カ月間に発症した症例は全体の71.4%を占めた.発症年齢別に分類した各群の構成は,小児期群37例(男女比1:0.95),思春期群14例(男女比1:1.8),成人前期群81例(男女比1:2.4),成人後期群73例(男女比1:2.5)で,発症年齢が遅くなるほど女性の占める割合が高くなる傾向が推察された(p=0.0876).重症型AA(S3–4以上)の占める割合は,小児期群56.8%,思春期群64.3%,成人前期群43.2%,成人後期群27.4%で,若年発症例で高かった(p=0.0057).AAの家系内発症は205例中46例(22.4%)に認められ,女性は男性よりAAの家族歴陽性率が有意に高かった(女:27.2%,男:13.0%,p=0.0216).群別の家族歴陽性率は,小児期群27.0%,思春期群21.4%,成人前期群24.7%,成人後期群17.8%で,有意な差はみられなかった(p=0.6631).アトピー性皮膚炎の既往あるいは合併を有する症例の比率は,小児期群40.5%,思春期群35.7%,成人前期群23.5%,成人後期群0%で,若年発症例に高かった(p<0.0001).抗サイログロブリン抗体の検出率は,小児期群13.5%,思春期群21.4%,成人前期群17.3%,成人後期群24.7%で,4群間に有意な差はなかった(p=0.5019).今回の検討では発症年齢や性別によりAAの臨床像の性質が異なることが示唆され,この相違はAAの発症機構の多様性を反映しているのではないかと考えた.
収録刊行物
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- 日本皮膚科学会雑誌
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日本皮膚科学会雑誌 117 (8), 1295-1300, 2007
公益社団法人 日本皮膚科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680713343488
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- NII論文ID
- 130004708538
- 10021304009
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- NII書誌ID
- AN00196602
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- ISSN
- 13468146
- 0021499X
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- NDL書誌ID
- 8894291
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可