悪性黒色腫の重複がんは増加しているのか?:大学病院での8年間(2005~2012年)の統計から

  • 山上 優奈
    京都大学医学部大学院医学研究科皮膚科学分野
  • 遠藤 雄一郎
    京都大学医学部大学院医学研究科皮膚科学分野
  • 藤澤 章弘
    京都大学医学部大学院医学研究科皮膚科学分野
  • 加藤 真弓
    京都大学医学部大学院医学研究科皮膚科学分野
  • 谷岡 未樹
    京都大学医学部大学院医学研究科皮膚科学分野
  • 椛島 健治
    京都大学医学部大学院医学研究科皮膚科学分野
  • 宮地 良樹
    京都大学医学部大学院医学研究科皮膚科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Is the Incidence of Multiple Malignancies among Patients with Malignant Melanoma Increasing? An Eight Year Single Center Experience
  • アクセイ コクショク シュ ノ チョウフク ガン ワ ゾウカ シテ イル ノ カ? : ダイガク ビョウイン デ ノ 8ネンカン(2005~2012ネン)ノ トウケイ カラ

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説明

本邦での悪性黒色腫(以下MM)における重複がんの発生率は4.8%と他の皮膚癌と比較しても同等であり,重複がんの発生率は高くないとされていた.しかし,過去の報告と比較して,当院ではMM患者における重複がんの発生率が高い印象を受ける.そこで当院での2005年~2012年までの8年間のMM 130症例を分析して,重複がんの割合を調べた.MM 130例のうち,重複がんは男性7例,女性13例の計20例(15.4%)であった.20例のうち,2重複がんは15例(男性5例,女性10例),3重複がんが5例(男性2例,女性3例)で,4重複がん以上は観察期間中には確認できなかった.重複がん20例のうち,MM後発異時の先行がんは15例(男性5例,女性10例)19病変,同時性重複がんは2例(男性0例,女性2例)2病変,MM先行異時の後発がんは4例(男性2例,女性2例)4病変であった.同時性,およびMM先行異時後発がんの計6例中4例が1年以内に後発がんを発症,残り2例も5年以内の発症であった.MMは予後不良な悪性腫瘍のため,診断後の再発・転移の有無の確認はもちろんのこと,併存腫瘍の検索を含めた定期的,慎重なフォローが重要と考える.

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