皮膚疾患における脂腺の形態学的研究

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  • ヒフ シッカン ニ オケル シセン ノ ケイタイガクテキ ケンキュウ

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脂腺機能と皮膚疾患との関係は,古くから皮膚科領域における重要な課題の一つとして,諸家により検討されている.脂腺機能に関しては,主として皮脂の生化学的研究が取り上げられており,形態学的にこれを追求した報告は,必ずしも多くないが,近年,皮膚科領域における脂腺の形態学的研究としては,各種ホルモン,特に性ホルモン使用の影響に関するものが散見される.もともと,脂腺細胞の形態的変化と機能とは相応ずることが多いと考えられているが,脂腺の数・大きさは年令・性別によって差があり,同一個体においても,それらが部位によって異なることが知られている.しかも脂腺は全分泌腺である点が大きな問題であり,常に変動を示すこ個々の細胞は,正確な計測を一層困難ならしめている.一方,脂腺細胞の形態学的特徴は周知の如く,一般に幼弱な細胞が最も多く,成熟せる細胞は比較的少ないが,これらの腺細胞が多数の層をなしている.最外層即ち基底膜に接する周辺部における細胞は,低い円柱状を呈してほぼ一層に配列し,次の層から腺胞の中心部にかけて細胞は次第に大形となり,形も比較的不規則化し,細胞質内に脂肪滴を生じ,腺胞も成熟するにつれて肥大する.核は周辺部細胞では1個の核小体を有しているが中心部に近づくにつれて濃縮し,萎縮し遂に消失する.従つて,腺体は外層より内側に向つて,基底膜に接する部分を外層,核濃縮・細胞質脂質化を示す大型細胞の多い中心帯を内層および,その中間の層の3層に区別できる.今回,著者は健常人ならびに皮膚疾患患者についてひとつの試みとして脂腺細胞の成熟過程を個々の細胞における細胞容積と核体積の比の変化を指標として観察を行ない,2,3の知見を得たので以下に報告する.

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