皮脂腺機能の再検討―Squaleneとの関係を中心として―

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  • ヒシセン キノウ ノ サイケントウ Squalene ト ノ カンケイ オ チュウシン ト シテ

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抄録

皮膚疾患と皮脂腺機能との関係を量的な面から検索しようとする試みは,尋常性痤瘡の研究にみられるように,多くの研究者によつてなされている.Kligmanらによつて皮脂腺機能と皮表脂質量との間の相関が報告されて以来,一般に皮脂腺機能を量的に表現する方法として,被検部より採取した皮表脂質量をこれにあてている.しかし皮表脂質は皮脂腺由来の脂質と表皮細胞由来の脂質が混りあい,さらにそれらの排泄過程や皮膚表面において変化したものまで含んでいる.したがつて皮表脂質の増減で皮脂腺機能を論ずるには,かなり問題が残る.皮脂腺由来の主なる脂質にはtriglycerideとsqualeneがある.前者は皮膚表面に出現するまでにlipolysisを受けるため,その量で皮脂腺機能を表わせるとはいい難い.いつぽうsqualeneについては,その生理的な意義をも含めて未解決な点はあるが,皮脂腺から直接未変化のままで皮膚表面にたどる唯一の物質と考えられている.このような見地から皮表脂質中のsqualeneを定量化しようとする試みがすでに行なわれているが,そのいずれの方法もがヨウ素滴定法,あるいは比色法であるため,定量障害物質たとえばsqualene以外の不飽和化合物とかsteroid類の影響を受けやすく,いまだ皮表脂質におけるsqualeneの確立された定量法はない.今回われわれは皮表脂質研究の一環としてgas chromatography(以下GLCと略す)と用いて皮表脂質中のsqualeneを定量することを企画し,あわせて皮脂腺機能との関係について検討を行なつた.

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