気候馴化に対する皮膚の生理的意義

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  • キコウ ジュンカ ニ タイスル ヒフ ノ セイリテキ イギ

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抄録

皮膚は身体表面を被う膨大な器官であつてこれが果す生理的役割の内で最も重要なものは体温調節である.即ち皮膚は身体表面の温度変化を感受する受容器である一方,この温度受容によつて皮膚自身の血流を反射的に変化せしめて皮膚温をかえ,これによつて身体表面よりの放熱の調節を行なうのである.又皮膚には汗腺がよく発達し,発汗によつて体温調節に寄与することは衆知のことである.このように皮膚が体温調節に対して果す働きもヒトの住む環境が常時寒暑いずれかに偏する場合にはこれに馴化して一定の変化をなすことが知られている.私がここに述べようとするのは,この皮膚が体温調節の馴化現象に対しいかなる役割を果すか,言をかえると気候風土への馴化に際して示す皮膚の変化とその体温調節に対する意義である.さきにも述べたように皮膚は皮膚血管の伸縮,発汗等によつて体温調節に寄与するが,皮下脂肪並びに動物では皮膚の毛の発生も大いに体温調節上の意義がある.よつてここではこれらの皮膚の各構造物ないしはその働きに分かつて,その気候馴化に対する意義を順次述べてゆくことにする.ただしここに述べる業績は私の教室の仕事だけではなく,広く世界の文献をあさつてまとめたreviewであるから,実験上の詳しいことは原著を見ていただく外はないと思う.

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