本邦における有害薬物反応(ADR)と重症薬疹―過去5年間に認定された皮膚障害の概要―

書誌事項

タイトル別名
  • Adverse Drug Reactions (ADR) and Severe Drug Eruptions in Japan
  • ホンポウ ニ オケル ユウガイ ヤクブツ ハンノウ ADR ト ジュウショウヤクシン カコ 5ネンカン ニ ニンテイ サレタ ヒフ ショウガイ ノ ガイヨウ

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説明

本邦で行われている医薬品副作用被害救済制度について過去23年間に申請された5,406件の有害薬物反応(ADR)の状況と過去5年間(1998~2002)の皮膚障害553件の概要を報告した.総支給率は74.7%で,全ADRの中で最も多かったのが皮膚附属器官障害986件(20.7%),第2位がショックなどの一般全身性障害(790件),第3位が低酸素脳症などの中枢・末梢神経障害(789件),第4位に肝臓胆道系障害(631件)が続き,これらの4つでほぼ7割を占めた.原因医薬品の第1位はNSAIDsや抗けいれん薬を含む中枢神経系用剤,第2位は抗生物質製剤,第3位はホルモン剤であった.一方,皮膚障害の第1位はStevens-Johnson症候群(SJS),第2位は中毒性表皮壊死症(TEN),第3位は薬疹型の診断が困難であった“汎発型”薬疹であった.第4位は多形紅斑型薬疹,第5位は薬剤性過敏症症候群(DIHS),第6位が紅皮症型薬疹(ED)で,4つの重症薬疹(SJS,TEN,DIHS,ED)で全薬疹の6割(63.1%)を占めた.また“汎発型”,多形紅斑型,播種状紅斑丘疹型,ED型,さらにはSJSと判定された病型にもDIHSであった事例が含まれていた可能性も推察された.DIHSは2001年度から採用された副作用名である.また死亡率はTEN 32%,DIHS 16.7%,ED 4.8%,SJS 1.3%であった.後遺症のほとんどがSJSとTENにおける粘膜病変で,失明・視力障害などの眼科的障害が最多であったが,閉塞性細気管支炎による慢性呼吸不全など呼吸器系の重篤な後遺症にも注意を払う必要がある.

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