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獨協医科大学皮膚科に通院あるいは入院中の全身性強皮症(SSc)患者50例の肺線維症を評価する目的で,血清KL-6値および血清surfactant protein D(SP-D)値を測定した.ほぼ同時期に動脈血酸素分圧(PaO2),肺活量(%VC),拡散能(%Dlco)および肺CTを施行し,血清KL-6値,SP-D値との相関を検討した.さらにSScの病型や各種自己抗体についても検討を加えた.血清KL-6高値はSSc全体で10/50例(20.0%),limited cutaneous SSc(ISSc)では2/28例(7.1%),diffuse cutaneous SSc(dSSc)では8/22(36.4%)に,血清SP-D高値は全体で17/50倍(34.0%),ISScでは5/28例(17.9%),dSScでは12/22(54.5%)にみられた.病型別では血清KL-6値,SP-D値はいずれもISScに比べdSScで有意に高かった.血清KL-6値は,SP-D値を各々高値群,正常群に分けて検討したところ,%VC,%DLcoおよび肺CT重症度のいずれも血清KL-6値と相関することが明らかとなった.なお,血清SP-D値とは有意な相関はみられなかった.抗topoisomerase I抗体,抗centromere抗体および抗U1RNP抗体の各々の陽性群,陰性群の間で血清KL-6値,SP-D値について検討したところ,抗topoisomerase I抗体陽性群で血清KL-6値が高かった(p<0.01)が,他の抗体に関しては有意差は得られなかった.以上より,血清KL-6値は肺線維症を評価する上で非常に有用でしかも簡便なマーカーであり,血清SP-D値よりも優れていると考えた.
収録刊行物
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- 日本皮膚科学会雑誌
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日本皮膚科学会雑誌 110 (11), 1699-, 2000
公益社団法人 日本皮膚科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680716840192
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- NII論文ID
- 130004681234
- 10007724859
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- NII書誌ID
- AN00196602
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- COI
- 1:CAS:528:DC%2BD3cXotFSrur4%3D
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- ISSN
- 13468146
- 0021499X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可