アイデンティティ確立の個人差が意図的および無意図的に想起された自伝的記憶に及ぼす影響

  • 山本 晃輔
    奈良教育大学教育学部:(現)大阪産業大学人間環境学部

書誌事項

タイトル別名
  • An Influence of Individual Differences in Self-Identity Achievement on Voluntary and Involuntary Autobiographical Remembering
  • アイデンティティ カクリツ ノ コジンサ ガ イトテキ オヨビ ムイトテキ ニ ソウキ サレタ ジデンテキ キオク ニ オヨボス エイキョウ

この論文をさがす

抄録

本研究では,アイデンティティ確立の個人差要因が自伝的記憶の想起に及ぼす影響を意図的および無意図的想起の両事態から検討した。研究1では,313名を対象にアイデンティティ尺度(下山,1992)を実施するとともに,日誌法によって無意図的に想起される自伝的記憶の特性を評価させた。その結果アイデンティティ確立高群では,低群よりも重要でかつ感情喚起度が高く.鮮明な自伝的記憶が頻繁に想起されることがわかった。研究2では,114名を対象に研究1と同様のアイデンティティ尺度を用いて,意図的想起事態における実験を行った。その結果,研究1と同様の結果が示された。また,補足的な分析として,研究1と研究2を比較すると,意図的に想起された自伝的記憶は無意図に想起された自伝的記憶よりも鮮明でかつ重要であることが示された。これら一連の結果は,アイデンティティ確立度の個人差が自伝的記憶の想起に影響を及ぼす可能性を示唆している。全体的考察では,Conway & Pleydell-Pearce(2000)による自己-記憶システム(Self-memory system)による解釈が行われ,今後の課題について議論された。

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 24 (2), 202-210, 2013

    一般社団法人 日本発達心理学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ