妊娠期から産後1年までの抑うつとその変化 : 縦断研究による関連要因の検討

  • 安藤 智子
    お茶の水女子大学大学院人間文化研究科:(現)山脇学園短期大学家政科
  • 無藤 隆
    白梅学園大学子ども学部

書誌事項

タイトル別名
  • The Course of Depression from Pregnancy through One Year Postpartum : Predictors and Moderators
  • ニンシンキ カラ サンゴ 1ネン マデノ ヨクウツ ト ソノ ヘンカ ジュウダン ケンキュウ ニ ヨル カンレン ヨウイン ノ ケントウ

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説明

産後抑うつは,産後自然に回復するとの見解もあるが,長びくと母子相互作用や子どもの発達に影響を与える。そこで,産後の抑うつはいつ始まり,どの程度が産後1年まで継続するか,その推移を探ること,また,産後抑うつに関する要因の推移および,回復に寄与する要因を探ることを目的として妊娠中,産後5週,産後3ヵ月,産後6ヵ月,産後1年の5回,郵送にて追跡調査を行った。産後1年時に抑うつの続いている者は,すべて妊娠期か産後5週に抑うつであった。5つの時期のEPDS得点に寄与する変数は,時期により異なり,抑うつの脆弱性を測定する自己没入が,産後5週,産後3ヵ月では抑うつに寄与しなかつた。このことから,産後の早い時期の抑うつには,生理的な要因の寄与が推測された。潜在成長曲線モデルを用いて検討した抑うつの推移に寄与する要因は,愛着,自尊感情,妊娠期のEPDS得点,3ヵ月の養育態度と対児否定感であった。産後1年まで抑うつが続く者は,妊娠中,産後5週といった,早い時期に抑うつになっており,また,産後3ヵ月が抑うつ回復のターニングポイントになることから,妊娠中からのスクリーニングや早期の介入が必要であることが示唆された。

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 19 (3), 283-293, 2008

    一般社団法人 日本発達心理学会

被引用文献 (7)*注記

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