異常フィブリノゲンヘテロ接合体γ鎖Asn308Lys3家系のフィブリノゲン機能比較とハプロタイプ解析

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  • Functional analysis of heterozygous plasma dysfibrinogens derived from three families of gamma Asn308Lys, and haplotype analysis of these families

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抄録

今回我々はフィブリノゲン(Fbg)γ鎖308番アスパラギン(Asn)がリジン(Lys)に置換した3家系5名のヘテロ変異患者を発見・同定し,患者居住地より,Matsumoto II,Matsumoto XI,Nagano Iと命名した.それぞれの患者血漿からFbgを精製して機能解析を行ったところ,患者Fbgの重合機能はCaイオン非存在下で健常人Fbgに比べ著明に低下しており,患者間で低下の程度に差が認められた.また,Caイオン存在下では患者Fbgの重合機能は大きく改善された.一方で,Single Nucleotide Polymorphism解析の結果から,3家系の変異遺伝子は同一の突然変異に由来する可能性が高いことが示唆され,SDS-PAGEの結果では患者間で正常γ鎖と異常γ鎖の量の差に大きな差は認められなかった.以上のことから同一の変異を有する患者でも,Fbgが肝細胞で二量体として合成される際になんらかの選択機構が働き,正常/異常二量体Fbgの合成量が増加することで,完全な機能を有する正常/正常二量体Fbgの存在比が減り,重合機能がより不良になると推測した.

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 63 (2), 133-139, 2014

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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