母児間輸血症候群fetomaternal transfusion syndrome(FMT)が疑われた新生児重症貧血の1‍症例

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タイトル別名
  • A case of anemia gravis newborn suspected of fetomaternal transfusion (FMT) syndrome

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説明

患者は出生時体重2,590 g,出生時Hbは5.4 g/dl,輸血が必要であり,血液型はオモテ検査のみでA型RhD陽性と判定した.A型RhD陽性の赤血球濃厚液(RCC)と交差適合試験を実施したが,不適合となり母体由来の抗体を示唆した.母体はO型RhD陽性,不規則抗体なし,抗A抗体価IgG 512倍,HbF 0.8%,AFP 6,781 ng/mlであり,患者の血液が母体内に流入し,母児間輸血症候群fetomaternal transfusion syndrome(FMT)が疑われた.FMTによって母体はIgG性の抗Aが高力価となり,胎盤を通過して患者の血液内に流入したと考えた.患者は抗A抗体価IgG 8倍を認めた.O型RhD陽性のRCCと交差適合試験を実施し,適合となったため投与した.輸血後に患者は快方へ向かい,無事退院した.FMTは妊娠のほぼ全症例で起こっていると言われているが,重症例は注意が必要である.

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 63 (3), 322-326, 2014

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

被引用文献 (1)*注記

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