非定型精神病のロールシャッハ・テスト研究

書誌事項

タイトル別名
  • Rorschach test study on atypical psychosis
  • -Its subcategorization-
  • -ロールシャッハによる類型化の試み-

抄録

非定型精神病なる概念は, 一般に精神分裂病ともうつ病とも判断し難い内因性精神病とみなされているが, しかし, 未だ曖昧な概念であり, 近年では様々な側面からの総合的理解の必要性が強調されている. この研究は臨床心理学的方法 (ロールシャッハ・テスト) によって本疾患を理解しようとするひとつの試みである. 対象は, 臨床像から非定型精神病との確定診断を受けた男子5例・女子16例, 計21例である. 彼らのロールシャッハデータを思考異常の程度 (逸脱言語表現 マイナス反応) と感情の反応性 (色彩反応 黒色反応) に焦点を当て検討したところ4群に分類された. つまり, I群: 逸脱言語表現あるいはマイナス反応が存在する. II群: 逸脱言語表現あるいはマイナス反応は存在せず, 人間運動反応・色彩反応・黒色反応が多い. III群: 逸脱言語表現あるいはマイナス反応は存在せず, 人間運動反応・色彩反応は多いが, 黒色反応は乏しい. IV群: 逸脱言語表現あるいはマイナス反応は存在せず, 人間運動反応は乏しい. 臨床像との対照によって以下のことが結論づけられた. 1) I群は精神分裂病的, II群は躁鬱病的, III・IV群は神経症的, とりわけIV群はヒステリー的色彩が強い. 2) I・II群は予後が楽観視できないのに対し, III・IV群は比較的良好である. 3) 全群において, 知的生産性の保持, 良好な対人関係が見られる.

収録刊行物

参考文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ