腫瘍マーカーによる日常病理診断への応用と限界

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  • 石 和久
    順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院検査科
  • 霜多 広
    順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院検査科
  • 川島 徹
    順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院検査科
  • 古谷津 純一
    順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院検査科

書誌事項

タイトル別名
  • Application and limitation of tumor marker for routine pathological diagnosis

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説明

腫瘍マーカーとは, 癌の診断および治療の効果に有用な一群の物質を総称している. これらを用いた日常病理診断への応用は各施設で普及しつつあるが, 手技上, 抗体特異性さらに染色結果の解釈などまだ様々な問題点がある. 通常腫瘍診断に腫瘍マーカーが用いられる目的は (1) 病変が悪性かどうかの診断 (2) 腫瘍の性状診断 (3) 転移癌の原発巣の推定, 等である. (1) では悪性リンパ腫において, 増殖リンパ球がモノクローナルかどうかの判定に有用であるが, 通常狭義の意味の腫瘍マーカーであるCEA・CA19-9・TPA・CA125等による上皮性腫瘍での, 良・悪性の診断また臓器特異性の判定は困難である. 現在病理診断に有用なのは (2) で, 上皮性腫瘍では乳癌におけるエストロゲンレセプター・腫瘍産生ホルモンの同定, さらに非上皮腫瘍では細胞由来の同定に各種マーカーが用いられしいる. 腫瘍診断に際しては免疫染色検索を盲信することなく, 必要に応じて従来の組織化学的方法・電顕的検索などを組み合わせるべきである. さらに免疫染色に際しては多数の特異抗体を選別し有効に活用しなければならない.

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