虚血性心疾患の心不全修正後年齢調整死亡率の年次推移ならびに, 職業と急死との関連について

  • 久岡 英彦
    順天堂大学医学部内科学教室循環器内科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Trends in mortality from ischemic heart disease, and the relationship
  • between occupation and sudden death in Japan
  • -日本病理剖検輯報を用いた研究-

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説明

【目的】急性心不全に含まれる虚血性心疾患を加えた虚血性心疾患年齢調整死亡率の推移, 突然死と職業との関連を, 日本病理剖検輯報 (輯報) を用い, 全国的規模で明らかにする. 【方法】1959年-1989年の5年毎の輯報に収録された全剖検例中, 突然死または急死症候群1,509例を抽出. 1) 突然死例中に占める虚血性心疾患の割合を算出し, 各年度の人口動態統計上の心不全例中の虚血性心疾患数を推定し, 人口動態統計の虚血性心疾患死亡者数に加算し, 1985年を基準人口とする調整死亡率を計算した. 2) 突然死例の職業・病因などを無作為抽出対照6,945例と比較した. 【結果】突然死例は, 男性950例・女性559例;平均年齢60歳 (男58歳女64歳). 突然死率は1959年 (0.62%) から1979年 (0.54%) まで比較的定常であったが, 1984年に1.06%に上昇し, 1989年1.46%まで増加した. 虚血性心疾患年齢調整死亡率は, 1959年36.7から1989年74.2と増加し, 人口動態統計値の2倍以上であった. 各職種の平均年齢は突然死群で低く, 運輸通信職・採掘業で有意差を認めた. 突然死群の運輸通信職・保安職の比率は対照に比し有意に多かった. 【総括】虚血性心疾患の実死亡率は, 人口動態統計上の2倍以上である可能性がある. 一部の突然死では職種に伴うストレスが原因と考えられた.

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