HIV感染者におけるCMV, EBV, HHV-6ウイルスDNA量の解析

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  • Levels of DNA of CMV, EBV, and HHV-6 in HIV-positive Subjects
  • HIV カンセンシャ ニ オケル CMV EBV HHV 6 ウイルス DNAリョウ ノ カイセキ

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抄録

目的: Cytomegalovirus (CMV), Epstein-Barr Virus (EBV), HumanHerpes Virus 6 (HHV-6) はいずれもヘルペス属DNAウイルスであり, 多くは乳幼児期に感染し, 以後終生潜伏感染を起こすことが知られている. Human Immunodeficiency Virus (HIV) 感染による免疫不全によりCMVが網膜炎や肺炎などの日和見感染症を引き起こすことは広く知られているが, 同じように潜伏感染性を持つEBVやHHV-6の動態についての報告は少ない. 今回われわれはHIV感染者におけるこれら3種のウイルスの定量を行い解析した. 対象: 2001年4月から2005年10月までに当科外来を受診した未治療のHIV感染者のうち, 日和見感染症を生じているAIDS患者を除いた51名を対象とした. 方法: 末梢静脈血白血球中のEBV, CMV, HHV-6のDNAをreal-time PCR法で定量した. この結果をHIV感染者と非HIV感染者で比較検討した. 結果: HIV感染者では非HIV感染者に比較してEBVが検出される割合が有意に高かった (64.7%vs9.8%: P<0.0001) が, EBV陽性率とCD4陽性細胞数に相関は認められなかった. CMVの陽性率も非HIV感染者と比較して高い傾向が見られ (9.8% vs 0%: P=0.0564), CMV陽性者におけるCD4陽性細胞数は有意に少なかった. HIV感染者の1例でHHV-6を検出したが, 非感染者では検出されなかった. 結論: CD4細胞数が少ないHIV感染者ではCMVの陽性率が高く, 日和見感染が明らかでない患者においてもCMVの活性化が汎血球減少・体重減少・全身倦怠感などを引き起こしている可能性がある. HIV感染者ではEBV陽性率が有意に高かったが, CD4陽性細胞数とEBV陽性率には相関が認められず, EBV活性化をもたらすCD4陽性細胞数低下以外の要因があると考えられる. なお, 今回の結果ではHIV感染者と非HIV感染者でHHV-6陽性率に有意差は認めなかった.

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参考文献 (29)*注記

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