冠状動脈入口部病変を追って

  • 加納 達二
    順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院循環器内科

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タイトル別名
  • Morphological study on coronary ostial and clinicoangiographic analysis of isolated coronary ostial stenosis
  • カンジョウ ドウミャク ニュウコウブ ビョウヘン オ オッテ

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抄録

Leonardo da Vinciの人体解剖図のバルサルバ洞の渦巻構図の描写に注目し, 冠状動脈入口部の形態と動脈硬化性狭窄について, ヒト剖検心70例で病理学的研究を行った. 冠状動脈入口部は特有なくぼみ, いわゆるロート構造をもち, その形態は多種多様であるが, 右は二重輪が, 左はコメット形が多く, 組織学的にはロート構造は内側を放射状に走る縦走筋と外側をとりまく輪状筋の特殊構造をなしている. 入口部の動脈硬化は加齢とともに強くなるが, 出現部位は“ひさし”形成を含めて, 右ではロート部上縁に, 左では右上縁に出来ることが多い. 虚血性心疾患では冠状動脈自体の病変のみでなく, 冠状動脈入口部の硬化, 狭窄病変にも注目すべきことを示した. 順天堂大学では1975年に他大学にさきがけSones法による選択的冠状動脈造影検査が導入され, 同時にバイパス手術が開始された. この造影検査によって, 動脈硬化性病変を中心に, 大動脈炎症候群などの入口部狭窄例を数多く診断することが出来た. 順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院では極めて稀な原因不明の孤立性入口部狭窄例を経験し, 中年の閉経前の痩身の女性に多く, 冠硬化危険因子の保持が少なく, 胸痛歴は長く, 最終的には不安定狭心症に陥いるなどの特徴があり, 動脈硬化症とは異なる独立した疾患概念であることを提唱した. 最後に浦安病院で経験した左主幹部病変を入口部狭窄群-孤立群, 非孤立群, 非入口部群の3群にわけ, 各群での臨床像や治療成績について報告した.

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