糖尿病黄斑浮腫の硝子体手術長期予後

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タイトル別名
  • Long-term results after vitrectomy for diabetic macular edema
  • トウニョウビョウ オウハン フシュ ノ ショウシタイ シュジュツ チョウキ ヨゴ

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抄録

目的: 糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術の長期予後を検討すること. 対象と方法: 対象は1999年2月から2005年8月の6年6ヵ月の間に順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院で硝子体手術を施行し, 1年以上経過を追えた後部硝子体剥離を伴わないびまん性黄斑浮腫50例73眼である. 男性29例44眼, 女性21例29眼, 年齢は31歳-80歳 (平均60歳) で糖尿病罹患期間は1年から30年 (平均9年) である. 全例に術前視力, 網膜厚, 螢光眼底造影, HbA1c値, 腎症の有無を, 術後は経時的に視力, 網膜厚, 硬性白斑沈着の分布を検討し, 加えて術中・術後の合併症および最終視力不良例を検討した. HbA1c値, 腎機能と術後視力変化の関連も検討した. 視力表示はlog MARで, また統計学的検討にはt-testを用いた. 結果: 視力は2段階以上改善したのが73眼中36眼 (49.3%), 不変20眼 (27.4%), 悪化17眼 (233%) で, 術後3ヵ月目から視力が改善しはじめ (p<0.05) 6ヵ月目にはさらに改善し (p<0.01) その状態が持続した. 網膜浮腫の軽減は視力改善に先行していた (p<0.01). 硬性白斑は術前73眼中40眼 (54.8%) にみられた. 術後中心窩への白斑の移動沈着がみられたが, 視力改善群では67%の症例で白斑は吸収消失し視力が改善した. 不変群, 悪化群ではそれぞれ22%と30%であった. 手術合併症は73眼中13眼にあったが, いずれも対応可能なものであった. 1年後に視力が低下した17眼のうち原因として最も多いものが硬性白斑沈着の8眼でついで浮腫残存4眼, 黄斑萎縮3眼, 血管新生緑内障2眼であった. HbA1cおよび腎機能と術後の視力低下とは相関がなかった. 結論: 後部硝子体剥離を伴わないびまん性黄斑浮腫に対する硝子体手術は有用である.

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